[出典] "Genome-wide enhancer maps link risk variants to disease genes" Nasser J, Bergman DT [..] Lander ES, Engreitz JM. Nature. 2021-04-07. https://doi.org/10.1038/s41586-021-03446-x
 Eric S. LanderとJesse M. Engreitzが率いる研究グループは先行研究にて,CRISPRi, RNA FISHおよびフローサイトメトリー を組み合わせたCRISPRi-FlowFISH法を開発し、30種類の遺伝子について,3,500組を超えるエンハンサーと遺伝子との対応関係を解析し,Activity-by-Contact (ABC) モデルを構築し,どのエンハンサーがどの遺伝子を制御しているかのマッピングを可能にし,2019年にその成果をNature Genetics 誌に発表 [*] した.そのアブストラクトは,「(この手法は),ノンコーディング・ゲノムにおける数千の疾患リスク変異の機能解析に有用であろう」と結ばれていた.
 研究グループは今回,ABCモデルによって131種類の細胞型と組織のサンプルにおけるエンハンサー/遺伝子マップ (以下,ABCマップ)を作成し,それに基づいて,GWASから得られる変異の機能同定を試みた.
  • このABCマップは,72種類の疾患と複雑な形質にわたって,5,036種類のGWASシグナルを2,249種類の遺伝子に紐付け,その中には,異なる細胞株で作用するエンハンサーの変異を介して,多重なフェノタイプに影響する577種類の遺伝子のクラスが含まれていた.
  • また,炎症性腸疾患 (IBD)における新たな遺伝子調節機構を発見した.樹状細胞のような特定の細胞型において,ABCモデルで予測したエンハンサーに疾患関連責任変異が20倍以上エンリッチされていることを見出した.
  • また,IBDリスク変異を帯びたエンハンサーが,PPIF の発現調節を介して,マクロファージにおけるミトコンドリアの膜電位を変化させることも明らかになった.
[*] "Activity-by-contact model of enhancer-promoter regulation from thousands of CRISPR perturbations"  Fulco CP, Nasser J [..] Lander ES, Engreitz JM. Nat Genet. 2019-11-29. https://doi.org/10.1038/s41588-019-0538-0; CRISPRメモ_2019/02/02_2 [第1項]  CRISPRi-FlowFISH法を開発し、その解析データに基づき、エンハンサーが示す特異性の新たなモデル"Activity-by-Contact model"を提案. https://crisp-bio.blog.jp/archives/15413990.html