2021-04-22 初稿の中の[出典]#2のmedRxiv 投稿がCell 誌からJournal Pre-proofとしてオンライン刊行された.その書誌事項とアブストラクトを追記:
"Transmission, infectivity, and neutralization of a spike L452R SARS-CoV-2 variant" Deng X, Garcia-Knight MA, Khalid MM, Servellita V, Wang C, Morris MK [..] Chiu CY. Cell. 2021-04-20. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.04.025
  • カルフォルニアの44の郡にて採取した鼻腔/鼻咽頭スワブサンプルのゲノム解析から二種類の変異系統, B.1.427とB.1.429,を同定した.
  • 変異株は,5ヶ月間 (2020年9月1日~2021年1月31日)に,カリフォルニア州症例の0%から50%以上を占めるまでに至った。
  • スパイクタンパク質はL452R変異を含む3種類の変異を帯びている.
  • 変異株のウイルス排出量は2倍まで増加していた.
  • L452R変異を帯びたシュードウイルスの感染実験で,TMPRSS2発現Vero細胞と肺オルガノイドへの感染増 (18.6~24%)が見られたが,英国由来・南アフリカ由来・ブラジル由来に共通のN501Y変異を帯びたシュードウイルスよりも増加の度合いは低かった.
  • COVID-19回復期患者とワクチン接種者の血清に対する免疫回避能が強まった.
2021-04-14 初稿
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 CDCのVariant of Concern (懸念される変異体) [*1]には,英国由来B.1.1.7 (20I/501Y.V1), ブラジル由来P.1 (20J/501Y.V3), 南アフリカ由来B.1.351 (20H/501.V2)に加えて,米国カリフォルニア州由来のB.1.427 (20C/S:452R)とB.1.429 (20C/S:452R)がリストされている.
  • B.1.427とB.1.429 (以下,B.1.427/429)はスパイクタンパク質に共通の変異L452R置換とD614G置換を帯び,B.1.429は加えてS13I置換とW152C置換の変異を帯びている.
  • B.1.427/429は,カリフォルニア州の44の郡で採取された鼻/鼻咽頭スワブ2,172サンプルを対象とする全ゲノム解析から同定された変異株である [*2]
  • 2020年5月頃に出現し,2020年9月1日から2021年1月29日までの4ヶ月弱の間に0%から>50%へと増加した.
  • 感染が広がっている変異前の株に対して,伝播性が18.6-24%高まり,回復期患者とワクチン接種者に由来する血清の中和抗体価が中程度低下していた.
  • 残基532はスパイクタンパク質がACE2受容体と直接接触する界面に位置し,ロイシン (L)をアルギニン (R)に置換することで、受容体との結合力が強まり、中和抗体からの逃避能を獲得すると考えられる.
  • 生体内でのウイルス排出量が,N501Y変異を帯びているB.1.1.7、B.1.351、P.1変異株の二倍以上あり,また,培養細胞と肺オルガノイドに対する感染力も増した.
  • 東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授らは [*3],B.1.427/429がL452R変異によって,タンパク質の安定性とウイルスの感染性を高め,ウイルス複製を亢進している可能性があるとし,加えて,日本人の6割が持つとされているHLA-A24型の白血球による細胞免疫を免れるとした.
  • 日本の検疫では [*4],これまでに米国やメキシコからの入国者で16例検出し,2021年3月下旬に沖縄県で国内感染が初めて確認された.
[*] 出典 
  1. CDC SARS-CoV-2 Variant Classifications and Definitions. Updated 2021-03-24. https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/variant-surveillance/variant-info.html
  2. "Transmission, infectivity, and antibody neutralization of an emerging SARS-CoV-2 variant in California carrying a L452R spike protein mutation" Deng X, Garcia-Knight MA, Khalid MM, Servellita V, Wang C, Morris MK [..] Chiu CY. (medRxiv 2021-03-09 [プレプリント] https://doi.org/10.1101/2021.03.07.21252647) Cell. 2021-04-20. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.04.025; "Acquisition of the L452R mutation in the ACE2-binding interface of Spike protein triggers recent massive expansion of SARS-Cov-2 variants" Tchesnokova V [..] Sokurenko E. bioRxiv. 2021-02-22 [プレプリント] https://doi.org/10.1101/2021.02.22.432189
  3. "An emerging SARS-CoV-2 mutant evading cellular immunity and increasing viral infectivity" Motozono C [..] Nakagawa S, Ueno T, Sato K. bioRxiv. 2021-04-05 [プレプリント].  https://doi.org/10.1101/2021.04.02.438288
  4. 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第8報). 国立感染研究所. 2021-04-07 17:00. https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10280-covid19-41.html