[出典] "Complete map of SARS-CoV-2 RBD mutations that escape the monoclonal antibody LY-CoV555 and its cocktail with LY-CoV016" Starr TN, Graney AJ, Digngens AS, Bloom JD.  Cell Reports Medicine. 2021-04-01. https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2021.100255
 新型コロナウイルス感染症COVID-19の治療法・予防法として,モノクローナル抗体およびモノクローナル抗体のカクテルが待たれている.しかし,感染拡大に伴ってSARS-CoV-2の変異が高頻度になると,そうした抗体医薬が無力化されるリスクが高まる.
  • Fred Hutchinson Cancer Research Centerに籍をおく著者らは今回,グラクソ・スミスクライン,イーライ・リリー社およびVir Biotechnology, Inc.が新型コロナウイルス抗体医薬候補として開発したLY-CoV555 (bamlanivimab),およびLY-CoV016 (etesevimab)とのカクテルから免れる変異 (以下,逃避変異)を同定し,先行研究で同定したLY-CoV016を免れる変異とあわせて,RBD領域上にマップし,感染が広がっている新型コロナウイルス分離株のゲノム 配列と照合した.
  • 分離株の中で高頻度な逃避変異は,LY-CoV555に対するE484K,L452R,およびS494P,および,LY-CoV016に対するK417N/Tであった.これらに対してその他の逃避変異は低頻度であった.
  • 南アフリカ由来B.1.351変異株とブラジル由来P.1変異株は,E484KとK417N/T変異の組み合わせを帯びており,抗体カクテル (LY-CoV555+LY-CoV016)を逃れる可能性が示唆された.
  • カリフォルニア由来B.1.429株はL452Rを帯びており, LY-CoV555を逃れ,FDAによってLY-CoV555を無力化すると判定された.
  • また,少数ではあるが,LY-CoV555とLY-CoV016の双方を逃れるQ493RまたはQ493Kを帯びている変異株が存在することも見出した.