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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/01/15

  • Irving L. WeissmanAaron M. Ringらスタンフォード大学の研究チームは、免疫チェックポイント阻害療法の進化を目指して、より小さく非抗体である分子の可能性を探った.PD-1/PD-L1をモノクローナル抗体(Mab)で阻害する免疫チェックポイント阻害療法は著効を示す.しかし、抗体は、組織/腫瘍浸潤性が低い、また、Fcのエフェクター機能による免疫細胞の枯渇、といった弱点を秘めている.
  • 酵母表層ディスプレイ(yeast-surface display)系を用いた定向進化によって、ヒトPD-1のエクトドメイン(Mab〜150 kDaに対して14 kDaと小型)からPD-L1に対する高親和性 (110 pM) 競合的拮抗剤(以下、高親和性PD-1)を得た.抗PD-L1 Mabと比べると、この高親和性PD-1は、末梢エフェクターT細胞を枯渇することなく、より優れた腫瘍浸潤性を示した.
  • また、同系のCT26腫瘍モデルにおいて、小さな腫瘍 (50 mm3) と大きな腫瘍(150 mm3)に対して、抗PD-L1抗体は大きな腫瘍に対しては全く効果を示さなかったが、高親和性PD-1は双方に対して効果を示した.
  • さらに、高親和性PD-1は放射標識してPETイメージイングのトレーサーとして利用可能であり、マウス生体においてPD-L1陽性の細胞と陰性の細胞を識別可能であった.すなわち、バイプシーや組織学的解析に替わる非侵襲的検査が可能になった.

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