杭州師範大学からの投稿
[出典] "PAM-interacting domain swapping is extensively utilized in nature to evolve CRISPR-Cas9 nucleases with altered PAM specificities" Wang Q,Bian X, Du J, Lv Y, Tao L, Xie T. bioRxiv. 2021-05-01 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2021.05.01.442224
 著者らはタンパク質の進化機構とされているドメインシャッフリングを,PAMと相互作用するCas9のドメイン (PAM-interacting domain; PID)に適用することで,PAMを多様化することを発想し,実現した.
  • イントロダクションでは,PAMを多様化する必要性に続いて,多様化する手法として,SpyCas9以外のCasヌクレアーゼの探索,構造情報や分子機構に基づいた合理的設計や指向性進化法などによるCas9変異体の創出について論評した上で,新たなCas9変異体作出法が求められているとした.
  • はじめに,Streptococcus属のCas9オーソログ64種類のPIDsにおけるPAM結合ループのマルチプルアライメントから,64種類の間で保存されているPAM相互作用モチーフ3種類 (XRKR, NQKQ, XQXXXR; アルギニンとグルタミンに注目)を発見した.また,Cas9全長とPIDの系統解析から,PIDドメインの交換 (swapping)がPAMの多様化に貢献していることが見えてきた.
  • さらに,Lactobacillus属のCas9からSphingomonas属のCas9まで,のべ582種のCas9の配列の解析から,対象とした18種類の属の中で,12種類にPIDドメインの属内ドメインシャッフリングを,7種類に属間ドメインシャフリングを,見出した.
  • 最後に,自然界から発見したPIDドメイン交換に倣って,Cas9オーソログの中でコンパクトなStaphylococcus aureus Cas9から出発して,Staphylococcus hyicus Cas9との間のドメインスワッピングから新規なPAM NNAAAAを認識するキメラCas9,SaHyCas9,を作出するに至った.