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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

New York Genome Center/NYU, Synthego, およびNew England Biolabsからの投稿
2021-08-05 Cell Chemical Biology 誌刊行論文の書誌情報を追記
2021-05-18 bioRxiv 投稿に基づく初稿 
[出典] "Chemically modified guide RNAs enhance CRISPR-Cas13 knockdown in human cells" Méndez-Mancilla A, Wessels HH [..] Sanjana NE. (bioRxiv. 2021-05-14. https://doi.org/10.1101/2021.05.12.443920) Cell Chem Biol. 2021-7-27. https://doi.org/10.1016/j.chembiol.2021.07.011; Graphical Abstract https://els-jbs-prod-cdn.jbs.elsevierhealth.com/cms/attachment/30fe4446-e8e9-413e-9826-367d8986992d/fx1_lrg.jpg
 RNAを標的とするCRISPR-Cas13タンパク質が,遺伝子発現の一時的調節を可能とするプラットフォームとして注目を集めている.その中で,ヒト細胞へのタンパク質とCRISPR RNA (crRNA)のデリバリーが課題となっており,また,ヒト細胞内でのcrRNAが迅速に分解されることから,臨床応用にあたって標的遺伝子のノックダウンを必要な期間継続することが課題になっている.
  • 先行研究でgRNAsを化学修飾することでCas9によるゲノム編集の効率向上を実現していた研究グループは,今回,ヒト細胞におけるRNAターゲッティングの効率向上とcrRNAの半減期を伸ばすことを目的として,デリバリー法とcrRNAの化学修飾の条件を比較検討した.
  • gRNAの3'末端の修飾により,Cas13の活性が向上し,ノックダウン継続期間が伸びた.
  • 最適条件に基づいて化学修飾したcrRNAsとRfxCas13dのRNP複合体をデリバリーすることで,CD4陽性およびCD8陽性のヒト初代T細胞における遺伝子発現の安定かつ数日間に及ぶノックダウンを実現した. 
 [補足]
  • 化学修飾法として,化学修飾のタイプと化学修飾するcrRNAs上の位置の組み合わせを比較した [Figure 1-a.参照 (bioRxiv 投稿のPDF 17ページ)].
  • デリバリー法としては.レンチウイルスによるデリバリー,mRNAのリポフェクションとRNPのヌクレオフェクションを比較した.
  • 予備実験においてHEK293T細胞において3種類の細胞表面タンパク質 (CD46; CD55; CD71)を標的として検証した.また,SARS-CoV-2 RNAゲノムのノックダウンも実証した [Figure 2-d.参照(bioRxiv 投稿のPDF 19ページ)].
  • [先行論文] "Chemically modified guide RNAs enhance CRISPR-Cas genome editing in human primary cells" Hendel A, Bak RO, Clark JT, Kennedy AB, Ryan DE, Roy S, Steinfeld I, Lunstad BD, Kaiser RJ, Wilkens AB, Bacchetta R, Tsalenko A, Dellinger D, Bruhn L, Porteus MH. Nat Biotechnol. 2015 Sep;33(9):985-989. Published online 2015 Jun 29. https://doi.org/10.1038/nbt.3290
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