2022-03-13 Nature Biotechnology 誌採択論文に準じて,その書誌情報を追記し,初稿のテキストを改訂.
2021-05-20 biRxiv 投稿に基づく初稿
トロント大学とトロント小児病院 (Hospital for Sick Children)からの投稿
2021-05-20 biRxiv 投稿に基づく初稿
トロント大学とトロント小児病院 (Hospital for Sick Children)からの投稿
[出典] "Saturation variant interpretation using CRISPR prime editing" Erwood S, Bily TMI, Lequyer J [..] Ivakine EA, Cohn RD. bioRxiv. 2021-05-14 [プレプリント]. Nat Biotechnol. 2022-02-21. https://doi.org/10.1038/s41587-021-01201-1
VUS (variant of unknown significance)は疾患の発生や進行への関与が不明な変異であるが,次世代シーケンシングが臨床現場に普及したことから,機能不明な一塩基変異 (Single Nucleotide Variant: SNV)が,頻繁に発見されるようになった.こうしたSNVの機能同定を可能にする方法の一つが飽和ゲノム編集 (saturation genome editing, SGE)であった.しかし,SGE実験のベースになっていた相同組換え修復 (HDR)は,編集の効率と精度が低いことが課題であった.
- 研究グループは今回,塩基エディターの一種であるPEをベースとしてアレル特異的変異誘発と遺伝子座のハプロイド化を経て,個々の変異の機能を互いに独立に推定可能とし,この手法をSPE (saturation prime editing)として発表した [PEについては右のモデル図参照」
- 具体的には,HEK293T細胞において,ニーマンピック病C1型の関連するNPC1 遺伝子座を対象とするSPEを行い,978種類の変異の機能評価 (機能スコア付け)を実現し,706種類のミスセンス変異のうち410種類が病原性 (deleterious)と判定した.また,各変異体の機能スコアが多様な分子機構を反映することが示唆された.
- さらに,NPC1ハプロイド網膜色素上皮 (RPE1)細胞株で変異のサブセットを独立にアッセイし,機能スコアの再現性を実証した。
- 加えて,SPEをBRCA2 遺伝子座にも適用し,426種類の変異の機能スコアを判定し,SPEの汎用性を示した.
- PEを利用することで,indel形成を比較的抑制しつつ一貫して高い編集効率 (変異誘発効率)を実現でき,またpegRNAスキャフォールド近位の最初の数個のヌクレオチドを除いて,標的領域全体で比較的一定した編集効率を実現できた.
[PE関連crisp_bio記事]
- 2021-11-22 [展望] プライムエディティング (PE) ツールの最新動向.https://crisp-bio.blog.jp/archives/27963561.html
- 2018-04-15 CRISPR飽和変異導入実験により~4,000件のBRCA1変異の病因性を判定.https://crisp-bio.blog.jp/archives/8606509.html
コメント