[出典] "Targeted delivery of CRISPR-Cas9 and transgenes enables complex immune cell engineering" Hamilton JR [..] Doudna JA. Cell Rep. 2021-06-01. https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.109207
 CAR-T細胞療法に対して,活性,効率,持続性の向上,拒絶反応や移植片対宿主病の抑制,他家T細胞の利用拡大,血液癌から固形癌への拡張などが期待され,CRISPRシステムを利用した遺伝子改変が盛んに試みられている.
 J. A. Doudnaの研究グループは今回,Cas9 RNPとCAR遺伝子のヒト初代T細胞への導入をワンステップで実現する人工的なレンチウイルス様粒子 (Cas9-VLPs)を開発した.
  • Cas9-VLPでは,そのトロピズムをプログラムすることで,各種細胞が混合している集団内で,特定の細胞を選択的に標的可能である.概念実証実験では,HIV-1エンベロープを標的とするCas9-VLPsが,共培養されているCD8陽性T細胞に作用することなく,CD4陽性細胞を選択的に編集可能なことを示すことができた.
  • Cas9-VLPsは,CAR-T療法に際して,生体外でCas9 RNPをエレクトロポレーションする必要が無くなり,また,細胞型特異的な編集が可能なことを実証したことから,生体内CAR-T療法の可能性を示した.