[出典] "Restration of energy homeostatis by SIRT6 extends healty life span" Roichman A, Elhanati S [..] Cohen HY. Nat Commun. 2021-05-28. https://doi.org/10.1038/s41467-021-23545-7
 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD+)依存性の脱アセチル化酵素サーチュインの一種であるSIRT6,またSIRT1は,長寿タンパク質として知られているが,長寿をもたらす分子機構はほとんど不明であった.
 イスラエルのBar-Ilan UniversityとTechnion Integrated Cancer Center, 米国のNational Institute on Aging/NIH, ならびにスペインのMetabolic Syndrome Group–BIOPROMETとInstitute for Research in Biomedicine (IRB Barcelona)の研究グループは,野生型のB6マウスと,SIRT1過剰発現マウス,SIRT6過剰発現マウス,および,SIRT1とSIRT6のいずれも過剰発現させたトランスジェニックB6マウスとを,生理学的アッセイ,in vivo マルチオミックス,および炭素同位体によるラクテート・トレーシングにより比較解析し,SIRT6の過剰発現が,平均寿命を有意に延ばすことを特定し,その分子機構を明らかにした.
  • 野生型マウスでSIRT6を過剰発現させると,加齢に伴ってグルコース恒常性と肝臓でのグルコース生産が低下した.
  • 加齢したSIRT6トランスジェニックマウスでは,2種類の主要なグルコース新生前駆体の乳酸とグリセロールの利用改善を介して,グルコース恒常性と肝臓でのグルコース生産が回復した.2021-06-06 10.27.58
  • この回復は,SIRT6が肝臓でのグルコース新生遺伝子の発現を上方制御し,デノボでのNAD+合成を増強し,ひいては,脂肪組織からのグリセロール放出を全身で促進する [Fig. 7-e引用の模式図参照].
  • これらの結果は,SIRT6が老年期でのエネルギー恒常性を最適化し,虚弱化を遅らせ,健康的な加齢をもたらすことを示唆した.
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