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 老化細胞とは,分裂を停止し,不可逆的に増殖不可能になった細胞を言う.細胞の老化は,さまざまな生物学的ストレスを受けて異常になった細胞が分裂を停止し,その間に修復を試み,修復が失敗に終わった時に,不可逆的な細胞老化状態に入るか、アポトーシスによって排除される.こうして,細胞の癌化を防止する自己防御機構の一つとして、細胞老化が捉えられてきた [以上,Wikipedia  "細胞老化" https://ja.wikipedia.org/wiki/細胞老化 から集約]
 一方で,このところ,老化細胞を除去することで,癌化を含む老化現象を抑制できるとする報告が続いている.最近では,東大医科学研究所の中西 真教授と井元 清哉教授が率いる研究グループが,老化細胞を維持する特定の酵素を阻害することで,老化細胞を選択的に除去することに成功した.
[論文] "Senolysis by glutaminolysis inhibition ameliorates various age-associated disorders" Johmura Y, Yamanaka T, Omori S, TWang T-W [..] Imoto S, Nakanishi M. Science. 2021-01-15. https://doi.org/10.1126/science.abb5916
 ヒト体内で老化した細胞は,加齢に伴うさままざまな疾患と関連していることから,治療の標的と考えられており,その機構解明が試みられている.
  • shRNAライブラリーを利用したRNA干渉によるスクリーニングを介してグルタミン代謝,特にグルタミナーゼ1 という酵素 (GLS1)が細胞の老化に重要な役割を果たしていることを特定した.
  •  GLS1阻害剤によってこの経路を阻害すると,老化した細胞が死滅した.
  • また,マウスモデルにおいて,GLS1阻害剤によって,加齢に伴う臓器機能障害や肥満関連疾患が改善された.
[展望] "Targeting metabolism to influence aging" Pan C, Locasale JW. Science. 2021-01-15. https://doi.org/10.1126/science.abf6368
  • グルタミンは,生合成,酸化還元の調節,およびクロマチン生物学を含む代謝機能を担っており.現在グルタミンと関連する代謝を標的とする薬剤が提供されている.
  • しかし,健康や疾患におけるグルタミンの役割が十分に明らかにされていないことから,これらの薬剤の治療薬としての適用範囲はひろがっていない.
  • これまで,生体内でのグルタミン代謝の役割は限られているとする報告もあれば,癌に対する免疫反応の増強など生物医学的に重要な役割を担っているとする報告もあった.
  • Johmura (城村由和)らは今回,グルタミンが老化細胞の生存率と老化に伴う分泌表現型の維持に役割を果たしているとした.
  • グルタミンとそれに関連する代謝プロセスを標的とすることは、加齢プロセスを調節する魅力的で臨床展開可能な方法であると考えられる。
[プレスリリース] "老化細胞を選択的に除去するGLS1阻害剤が 加齢現象・老年病・生活習慣病を改善させることを証明" 東京大学医科学研究所.2021-01-15. https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00065.html [PDF https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/content/000004030.pdf]
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