[出典] "Unexpected gene activation following CRISPR-Cas9-mediated genome editing" Manjon AG, Teunissen H, de Wit E, Medema RH. bioRxiv. 2021-06-14 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2021.06.14.448328
CRISPRの発見とゲノム編集ツールの開発は分子生物学の分野に革命をもたらした。DNAの損傷と修復を研究する分野には,ゲノム上に内因性の二本鎖切断 (DSB)を,ランダムではなく,関心のある部位特異的に誘導するという新たな手法をもたらした.
- このDSBを効率的に生成するために、レンチウイルスベクターをはじめとする多くのsgRNAデリバリーシステムが開発され,デリバリーの効率,sgRNAのオンターゲットでの活性やオフターゲット編集活性などの観点から,評価されてきたが,各デリバリーシステムが細胞にもたらす作用を完全に理解するには至っていない.
- The Netherland Cancer Instituteの研究チームは先行研究で,RPE-1細胞においてタキソール耐性を獲得する主たる機構が,ABCB1 遺伝子の転写活性化であることを同定していた.
- 研究チームは今回,ABCB1 遺伝子の制御領域を標的とするCas9-sgRNAゲノム編集実験において,レンチウイルスをベースとするsgRNAベクターが,内在するゲノム上の標的位置に組み込まれ,標的遺伝子の望ましくない活性化をもたらすことを発見した.
- ABCB1 遺伝子の制御領域にDSBを誘導したところ,タキソール耐性を帯びたコロニーの形成が誘導された.このコロニーでは,sgRNAベクターからのEGF1A1プロモーターとU6プロモーターが組み込まれ,ABCB1の発現が上方制御されていた.
- この事象はこれまで報告されたことがなかったCRISPR/Cas9がもたらす作用であり,ゲノム編集にレンチウイルスベクターを利用する際に,留意すべきで事象である.
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