[出典] "Life 2.0—A CRISPR path to a sustainable planet" Carroll D, Meyer BJ. Proc Natl Acad Sci U S A. 2021-05-28. https://doi.org/10.1073/pnas.2107418118
 National Academy of Sciencesと Innovative Genomics Institute (IGI)が共催したコロキアム [*]のUniversity of Utah School of MedicineとUC  Berkeleyの著者らによる報告
 [*] コロキアム
 [コロキアムのVIDEO] 

[Carroll & MeyerよるコメントとLife 2.0のWebサイトで公開されている演題に準じた目次]
2019年12月10日 (火曜日)
開会の辞 Barbara Meyer (UC Berkeley) 
基調講演 A view from the edge. Dana Carroll (U Utah & Innovative Genomics Institute): ゲノム編集の背景と歴史を振り返り,未来を展望
セッション1:  CRISPRの応用可能性 (translational promise)と緊急な課題
  • ヒトサイトメガロウイルス感染症のシングルセル機能ゲノミクス.Jonathan Weissman (UCSF)
  • モデル生物と非モデル生物のゲノム編集によりヒト生物学や疾病に対する洞察を得られる.Barbara Meyer (UC Berkeley)
  • 公衆衛生の観点から遺伝性疾患に対するこれまでにない正確で安価な治療法が必要.Michele Calos (Stanford U)
  • 気候変動の影響と世界の食糧供給への脅威を軽減するために、作物の遺伝子組み換えが特に緊急に必要.  Pamela Ronald (UC Davis)
  • 新興感染症を想定しワクチンを提供する上での政治的、社会的、物理的な課題を指摘.Peter Hotez (Baylor College of Medicine)
セッション2: 社会的受容性と課題"
  • CRISPRに伴う複雑な倫理的側面を強調し,世界のバルカン化 (分裂)を悪化させないように呼びかけ.Debra Mathews (JHU School of Medicine)
  • 環境遺伝子編集の集合的な監視が必要.Natalie Kofler (Yale U).
  • 臨床から社会へ: ゲイツ財団が進めている環境・医療プロジェクト.Dan Wattendorf (Gates Foundation)
  • ゲノム編集の応用とその影響にに関する一般市民との実効ある議論を実現するには.Dietram Scheufele (Wisconsin U)
セッション3: 動物のゲノム編集
  • ゲノム編集による家畜の疾病管理.Bruce Whitelaw (Roslin Institute)
  • 臓器異種移植とヒト疾患モデルの観点からのブタゲノム編集.Luhan Yang (Qihan Biotech)
  • 食糧供給の観点からの家畜ゲノム編集を評価.Heather A. Lombardi (FDA)
特別講演 (Distinctive Voices Lecture)
  • CRISPR-Casシステムによるゲノム編集 - 生物学の新時代における課題と機会.Jennifer Doudna (UC Berkeley)
2019年12月11日 (水曜日)
セッション4: 作物のゲノム編集
  • トマトの遺伝子発現を調節することで農業上有用な品質改良実現.Zachary Lippman (CSHL)
  • 植物遺伝子編集における課題であるデリバリー法の改善.Daniel Voytas (U Minnesota)
  • 植物育種革新に対する規制への米国農務省のアプローチ.Neil Hoffman (USDA) - SECURE (sustainable, ecological, consistent, uniform, responsible, and efficient) ルール
セッション5: 遺伝子ドライブ
  • マラリア原虫の主要な媒介蚊であるAnopheles gambiae 集団の制御.Andrea Crisanti (Imperial College London)
  • 次世代遺伝子ドライブ - 遺伝子ドライブの堅牢性向上.Bruce Hay (California Institute of Technology)
  • 現時点では正確な予測もリリースした遺伝子ドライブを適切に監視する手段もない.Mary Power (UC Berkeley)
セッション6: ゲノム編集によるヒト疾患治療法
  • デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD)の治療法としての目覚ましい進歩.Eric Olson (U Texas Southwestern)
  • 次世代ヒトゲノム編集 - 非ウイルス性デリバリー,多重化,エピゲノム編集など,の複数の課題.Fyodor Urnov (IGI)
  • CRISPR療法の急速な進展に対するFDAの見解と、初期の臨床試験で有害な結果が出た場合に効果的な治療法への進展が阻害される懸念を述べた.Peter Marks (FDA Center for Biologics Evaluation and Research)
セッション7: ヒト生殖細胞系列におけるゲノム編集
  • ヒトの初期発生の側面を理解するためにヒト胚編集が必要.Kathy Niakan (Francis Crick Institute)
  • 将来の生殖細胞系列のゲノム編集の医療応用: 生殖プロセスとしての体外受精の位置づけ.Shruthi Mahalingaiah (Harvard U)
  • ヒト生殖生殖細胞系列のゲノム編集の倫理的・社会的課題 -  必要な体細胞編集と,不必要な機能強化のための生殖細胞編集との間には十分な障壁がなく,また,どちらも社会的不平等を拡大していくリスクを帯びている.John H. Evans (UCSD)
[crisp_bio注]  出典には,目次にあげた講演の付属論文も紹介されている.