crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2025-02-15 CRISPR-Act3.0の改良戦略が提言された
[出典] Forum "Advancing plant gene activation with CRISPR-Act3.0" Movahedi A, Mu Z, Yang L. Trends Biotechnol. 2025-02-12. https://doi.org/10.1016/j.tibtech.2025.01.008 [著者所属] Nanjing Forestry U (State Key Laboratory of Tree Genetics and Breeding), Arlington International U (兼)

 植物ゲノム工学の先駆的ツールであるCRISPR-Act3.0は、正確な遺伝子活性化に有望であるが、多倍体ゲノムにおける不安定な構造や一貫性のない遺伝子活性化などの課題に直面している。ここでは、CRISPR-Act3.0をより弾力的で適応性のあるものにするための戦略的改良を提案する。

2022-02-23 Current Protocol 誌掲載プロトコル論文の書誌情報を追記
[出典] PROTOCOL "CRISPR-Act3.0-Based Highly Efficient Multiplexed Gene Activation in Plants" Pan C, Qi Y. Curr Protocol 2022-02-14. https://doi.org/10.1002/cpz1.365

2021-06-29
初稿
[出典]
 University of MarylandのYiping Qi准教授が率いる研究グループはこれまでに,dCas9に転写活性化因子を融合するCRISPRa [*1]をベースとした植物内在遺伝子の転写活性化に取り組んできた.2015年に第一世代のdCas9-VP64 [*2]よる植物遺伝子活性化に続いて,2017年,dCas9-VP64にsgRNA2.0 [*3]を組み合わせることでdCas9-VP64の構成よりも強力な転写活性化を可能とした第二世代のCRISPR-Act2.0 [*4]を発表してきた.研究グループは今回さらに強力な転写活性化を可能にする第3世代のCRISPR-Act3.0を発表した.
  • 今回,転写活性化因子を標的に多重にリクルートする戦略や転写活性化因子を系統的に比較評価した結果,dCas9-VP64,sgRNA2.0のシステムに10xGCN4 SunTagシステム [*1]を組み合わせ,さらに,新たに開発した転写活性化因子TADアクチベータのペアを利用することで,dCas9-VP64, dCas9-SunTag [*1],dCasEV2.1 [*5]のどれよりもはるかに高い活性化を誘導する極めて強力な転写活性化システムCRISPR-Act3.0を実現した: dCas9-VP64-sgRNA2.0-10xGCN4 SunTag-2xTAD activators fused to scFv
  • CRISPR-Act3.0では最大7つの遺伝子の同時編集と転写活性化も実現した.イネではβ-カロテン生合成経路とプロアントシアニジン生合成経路の多くの酵素をコードする遺伝子の同時活性化を、シロイヌナズナでは多遺伝子の活性化を実証した。
  • さらに、この活性化戦略をCRISPR-Cas12bと、PAM配列からの制約からほとんどフリーなSpCas9変異体'SpRY'に適用し、遺伝子活性化の標的可能範囲を不活性化SpCas9をベースとするCRISPRaから大幅に拡大した。
  • このように改良されたCRISPRaツールボックスは、機能的ゲノミクス研究や、植物の代謝工学や合成生物学で必要とされる多遺伝子活性化の応用に大いに有用である.
  [*] 注
  1. CRISPRa関連crisp_bio記事: 創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/25 遺伝子発現活性化にはVPR, SAMまたはSunTagの三択. https://crisp-bio.blog.jp/archives/1596918.html
  2. dCas9-VP64利用論文: "A CRISPR/Cas9 Toolbox for Multiplexed Plant Genome Editing and Transcriptional Regulation" Lowder LG [..] Qi Y. Plant Physiol 2015-08-21. https://doi.org/10.1104/pp.15.00636
  3. sgRNA2.0関連論文とcrisp_bio記事: "Genome-scale transcriptional activation by an engineered CRISPR-Cas9 complex" Konermann S, Brigham MD [..] Zhang F. Nature 2014-12-03. https://doi.org/10.1038/nature14136; 創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2015/01/30 CRISPR-Cas9システムの改変によって、ゲノムワイドでの転写を高効率で活性化するSAM法を開発. https://crisp-bio.blog.jp/archives/1611910.html; 2021-06-28 7.37.19sgRNAのスキャフォールド部分にMS2アプタマーを挿入することで,sgRNAへの転写活性化因子融合を実現する手法 [右BOX参照]
  4. CRISPR-Act2.0関連crisp_bio記事: CRISPRメモ_2017/12/11- 1 [第4項] CRISPR-Act2.0とmTALE-Actシステムにより植物における安定した転写活性化を実現. https://crisp-bio.blog.jp/archives/5635591.html
  5. EDLL関連crisp_bio記事: CRISPRメモ_2018/12/06 [第1項] 新たな転写活性化法dCasEV2.1 (EDLL-dCas9-MS2:VPR) https://crisp-bio.blog.jp/archives/14129988.html
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット