[出典] "Efficient C•G-to-G•C base editors developed using CRISPRi screens, target-library analysis, and machine learning" Koblan LW, Arbab M, Shen MW [..] Weissman JS, Adamson B, Liu DR. Nat Biotechnol. 2021-06-28.https://doi.org/10.1038/s41587-021-00938-z
現在知られているヒトの病原性遺伝子変異の約半分を一塩基置換に伴う変異が占めている.David R. Liuが率いる研究グループはこれまでに,トランジッション置換を実現する塩基エディター (Base Editor, BEs),CBE (C•G-to-T•A置換)とABE (A•T-to-G•C置換),に続いて,PE (Prime Editor)を開発しその中でトランスバージョン置換 [右図参照]も実現した.その間,Liuグループとその他のグループがCBEをベースにしたトランスバージョン置換を実現してきた.CBEとABEは,置換の効率が高く,また,編集産物の純度 (product purity: 編集済み全ての対立遺伝子に占める目的の編集のみを含む対立遺伝子の割合)が高いが,一般にトランスバージョン置換は低効率そしてまたは標的可能範囲が限られている.
C•G-to-G•Cの置換を実現するCGBE
- Liuグループは先行研究で,CBEの望ましく無い編集副産物としてトランスバージョン (C•G-to-G•C; C•G-to-A•T)置換が誘導されること,これが,細胞内在のウラシルDNA N-グリコシラーゼ (UNG)のノックアウトやウラシルグリコシラーゼ阻害剤 (UGI)の融合によって抑制可能なことを明らかにしていた.
- 第一世代のCGBEは,UGIドメインを削除したCBEであり,C•G-to-G•Cの効率的置換を実現したが,産物の純度は低く,標的可能部位が限られ,また,標的可能部位の予測も困難であった.
- LiuグループはまたCBEとABE開発の過程で,哺乳類細胞において,ゲノムに組み込まれた数千の標的部位とそれに対応するガイドRNAを含むライブラリを用いて,CBEおよびABEの塩基編集プロファイルを包括的に解析した。これらのデータを用いて機械学習モデル (BE-Hiveと総称)を学習させ、CBEおよびABEの塩基編集の結果を左右する配列決定因子を同定した。
- Liuグループは今回,CGBEの編集結果の配列決定因子を幅広く明らかにすることで、編集の効率や編集産物の純度の正確な予測が実現し、その結果、CGBEの幅広い利用が促進されると考えた.
成果
- Liuグループは、高効率で高純度のCGBEを実現するために,Repair-seqをベースとしたスクリーニング実験と深層学習を組み合わせて,一連のCGBEバリアントからなる高性能なトランスバージョン変換ライブラリーを構築した。
- はじめに,C-G-to-G-Cの編集結果に影響を与える因子を特定するために、HeLa細胞において476種類のDNA修復遺伝子を標的としたCRISPRiスクリーニングを行い、この知見をもとに多様な編集プロファイルを持つCGBEsを構築した。
- また,10種類のCGBEバリアント候補について,マウスES細胞において多様なゲノムコンテクストに位置している10,638ヶ所の標的部位のライブラリー (‘comprehensive context library')を標的に対する編集活性を測定し,そのデータに基づいて,CGBEの効率と純度ならびにバイスタンダー編集のパターンを高精度で (R=0.90)予測する深層学習モデル'CGBE-Hiveモデル'を構築した.
- これらのCGBEは、90%以上の精度 (平均96%)と最大70%の効率 (平均14%)で、ヒト疾患に関連する546個のトランスバージョン一塩基変異(SNV)の野生型コード配列への修正を実現した。
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