[出典] "A type III-A CRISPR–Cas system mediates co-transcriptional DNA cleavage at the transcriptional bubbles in close proximity to active effectors" Lin J, Shen Y, Ni J [..] She Q. Nucleic Acids Res. 2021-07-01. https://doi.org/10.1093/nar/gkab590
 CRISPR-Casシステムの中でタイプIIIの特徴は,crRNAの標的DNAへの結合を契機としてCas10 タンパク質のPalmドメインが活性化することで,ATPから環状オリゴアデニル酸(cOA)が合成され,cOAが二次情報伝達分子として機能してCsm6/Csx1をアロステリックに活性化し,非特異的なRNA分解を誘導するところにある.しかし,乳酸桿菌 (以下,Ld)のタイプIII-Aシステム (LdCms)は,cOAシグナル伝達経路を欠失しているにも関わらず,外来プラスミドを効率的に除去する.
  • 山東大学の研究グループは今回,ATPがLdCmsのssDNaseを増強するリガンドとして機能し,また,ATPの増強がin vivo プラスミド除去に必須であることを発見した [ただし,ATP結合とそれによる免疫強化の機構については,LdCsmの構造解析を待たなければならないとした].
  • また,in vitro アッセイにおいて,LdCsmが非鋳型鎖の任意の位置で転写バブルを切断することを発見し,したがって,LdCsmが転写進行中のDNAを切断することを示唆した.
  • さらに,E. coli において,LdCsmが標的プラスミドに対しても非標的プラスミドに対して転写共役DNA切断活性を発揮することを発見し,LdCsmが活性時に近接している転写バブルにてDNAを切断することを示唆した.
  • 続いて,活性なLdCsmと細胞内の位置の関係を見ることから,LdCsmの拡散が大量の染色体DNA分解をもたらすことを発見した.
  • すなわち,LdCsmが感染細胞を細胞死に誘導することで,宿主細胞集団を保護するいわゆるabortive infection (不稔感染)の機構を担っていることが,示唆された.
  • これらの知見をもとに,研究グループは,ファージが低密度な状況では,LdCsmがファージDNAに近接して活性化し,ファージが高密度な状況ではLdCsmが染色体DNAに近接して活性化するモデルを提案した [Figure 7引用右図参照]
[参考crisp_bio記事]