[出典] “Engineering large-scale chromosomal deletions by CRISPR-Cas9” Eleveld TF et al. Nucleic Acids Res. 2021-07-07. https://doi.org/10.1093/nar/gkab557
大規模な染色体欠失は、癌の特徴であり、また、腫瘍のタイプやサブタイプに特異的に再発することから、癌化との関連が疑われるが、その再現実験がこれまで困難であった。
アムステルダム自由大学医療センターの研究グループは今回,CRISPR-Cas9とsgRNAペアを用いて,既知のブレイクポイントとテロメリックの近位領域の2ヶ所に同時にDSBを導入し、相同組換えによるDSBの修復を促すとされているssDNAテンプレートを供することで、大規模な染色体欠失を誘発する手法を開発した。
この手法は、簡単かつ迅速に行うことができ、神経芽細胞腫細胞のSKNSHにおいて、意図した染色体欠失、Chr 11q (65 Mb)を30%の効率で実現した。また、神経芽細胞腫細胞のNMBにおいて、ssDNAテンプレートを省略したが、意図したChr 6q (53 Mb)の欠失を実現した。本研究は、テロメアを維持したままの大規模な染色体欠失を実現すると共に,ssDNAテンプレートの役割について研究が必要なことも示唆した。
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