[出典] "The COVIDome Explorer Researcher Portal" Sullivan KD [..] Espinosa JM. Cell Rep. [Journal Pre-proof] Accepted 2021-07-22. https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.109527
 COVID-19パンデミックは,武漢株のゲノム配列が公開された瞬間から,迅速な共同研究,査読中の論文へのオープンアクセス,国際的なデータ共有などを一気に広げた.University of Colorado Anschutz Medical Campusの研究グループは今回,2020年7月からCOVID-19入院患者のコホートと参照コホートのマルチオミックスを進めた結果を,2020年11月にユーザフレンドリーなデータポータルを介して公開した.データポータルの利用者は,2020年11月から2021年6月の間に800人を超えた (36カ国):
  • 全血トランスクリプトーム (16,000+RNAs)
  • 血漿プロテオーム (4,800+ エピトープ(SOMAscan®); 400+ タンパク質 (質量分析))
  • 血漿サイトカインプロファイル (80+ 免疫調節因子)
  • 血漿と赤血球のメタボローム
  • 末梢血単核細胞 (PBMC)のマスサイトメトリーによる免疫細胞プロファイル (100+ 免疫細胞型)
  • 抗体陽転アッセイ
 著者らはこの多次元データを統合したデータベースをCOVIDomeと称し,COVIDomeのデータをオンラインで解析し可視化可能とする研究者向けポータルサイトをCOVIDome Explorerと称して公開した: https://covidome.shinyapps.io/Cohort/ 
 本論文では,COVIDomeの構築法と解析法に続いて,COVIDome Explorerによる仮説の生成,仮説の検証,および新たな発見の例を提示した.
 COVIDomeの利用モデルとして,COVID-19で予後不良のマーカーとして確立されたC反応性タンパク (C-reactive protein, CRP)に関連するバイオシグネチャー (biosignatures)をマルチオミックスで解析することで,CRPの高いレベルと,ダメージ関連分子パターン (damage-associated molecular patterns, DAMP),セリンプロテアーゼを阻害するセルピン・ファミリーの主要なメンバーSERPINA4/5の枯渇,および 末梢血液細胞におけるミトコンドリア代謝異常を示唆する代謝系改変との関連を明らかにした.
 この解析結果に基づいて著者らは,CRPが患者コホートの層別化のバイオマーカとして利用可能であり,CRP値が高い患者の臓器障害を軽減するために、SERPINA4および/またはSERPINA5の投与が有効な治療戦略となり得るとした.

[参考] プロジェクトWebサイト: The COVIDome Project - A collaborative, multidisciplinary effort to accelerate translational research in COVID-19. https://medschool.cuanschutz.edu/covidome