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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Retrospective screening of routine respiratory samples revealed undetected community transmission and missed intervention opportunities for SARS-CoV-2 in the United Kingdom" Chappell JG [..] Ball JK, McClure CP, COG-UK consortium. J Gen Virol. 2021-06-16. https://doi.org/10.1099/jgv.0.001595
 英米ではlong COVID (いわゆるCOVID-19後遺症)を理解し療法を開発するプロジェクトが始まったが,これまでのCOVID-19対策の検証も進んでいるようだ.今回のUniversity of Nottinghamを含むCOG-UK consortium (COVID-19 Genomics UK Consortium https://www.cogconsortium.uk)からの報告はその一例である.
  • 新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)パンデミックの初期には,感染者との接触や蔓延地域への渡航などの疫学的リスクを確認した上で,厳密な症例の定義に合致する人を中心に検査が行われた [crisp_bio注: 日本も同じ状況で,自主検査を除いては,日本は今も同じ状況と思う].
  • 研究グループは今回,英国の大規模ティーチング・ホスピタル (teaching hospital https://en.wikipedia.org/wiki/Teaching_hospital)に入院した患者の中で,過去に遡ってCOVID-19に適合する臨床症状を呈したと判断された人を対象に,PCR検査を実施した.
  • 同時に,呼吸器ウイルス感染診断のために採取され保存されていた検体について,SARS-CoV-2のゲノムRNAの有無を調べた.
  • その結果,2020年2月初旬から3月にかけて,SARS-CoV-2が地域社会で蔓延していたことが判明した.しかし,当時は厳密な症例の定義に基づく検査が行われていたため,これを検知できなかった.今回また,ゲノム配列データからこれらの初期症例の多くが,新型コロナウイルスの異なる系統に感染していたことが明らかになった.
  • また,ノッティンガムシャー州で最初に記録されていた症例 (韓国の大邱から帰国した人)の塩基配列が,今回判明した初期の塩基配列とクラスターを形成したことから,帰国者は大邱ではなく英国内で感染したことが示唆された.
  • 加えて,ノッティンガムシャー州で得られたより多くの配列を解析した結果,主に2月下旬から3月にかけて,複数のウイルスが侵入したことも判明した.
 今回の分析結果は,ウイルス感染の拡大を防ぐためには,地域におけるタイムリーかつ広範な検査が重要なことを示した.
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