[出典] "Enhancer release and retargeting activates disease-susceptibility genes" Oh S, Shao J, Mitra J [..] Li W, Rosenfeld MG. Nature. 2021-07-29/2021-05-26 (Online). https://doi.org/10.1038/s41586-021-03577-1
 UCSDを主とする研究グループが,制御性エンハンサーによる標的遺伝子のプロモーターを機能的に選択する機構および疾患との関連の解析を試みた.
  • エンハンサーが然るべき標的のプロモーターに作用することで然るべく遺伝子転写が進行する.UCSDを主とする研究グループは今回,エンハンサーが,然るべきプロモーターが欠損すると,同じトポロジカルドメイン (TAD)内の近隣のプロモーター (alternative promoter (s))にループして活性化することを見出し,このエンハンサーの標的スイッチのプロセスを"enhancer release & retargeting (ERR)"として報告した.
  • エストロジェンに反応するエンハンサーによって転写が活性化する遺伝子と,同じTADに存在するその他の遺伝子プロモーターをモデルとして,エンハンサーとプロモーターの関係を解析した.
  • 遺伝子欠失,モチーフの摂動または変異,およびdCas9を介したCTCFのテザリングの実験から,コヒーシン依存でプロモーターにCTCFが結合することで,ERRが,進行することを明らかにした.
  • プロモーターに結合したCTCFは,クロマチンドメイン境界に結合したCTCFよりも親和性が低く,境界結合CTCFと異なる特性を帯びていることが示唆された.
  • 癌関連変異の解析,遺伝子発現データベース (GTEx)のデータ,GWASから得られた疾患リスク遺伝子座のデータ,および,CRISPRiスクリーンによって,癌に関連する3種類の遺伝子座 (CLPTM1L-TERT, ZCCHC7-PAX5, およびPVT1-MYC )やパーキンソン病のリスク遺伝子座 (NUCKS1–RAB7L1 )において,ERRのプロセスで,疾患の原因とはされていないプロモーターの欠失や変異の代替として疾患原因遺伝子のプロモーターが活性されることを同定した.
 ERRは,これまで見逃されてきた疾患感受性遺伝子の活性化機構である.