[出典] "Investigating crosstalk between H3K27 acetylation and H3K4 trimethylation in CRISPR/dCas-based epigenome editing and gene activation" Zhao W, Xu Y [..] Liang F-S. Sci Rep. 2021-08-05. https://doi.org/10.1038/s41598-021-95398-5

Case Western Reserve Universityの研究チームは今回、dCas-p300融合タンパク質および、H3K4me3特異的ヒストンメチルトランスフェラーゼであるSET1のコアドメインを含む新規改変タンパク質dCas9-SET(CD)を用い [Figure 1引用右図参照]、転写開始点(TSS)周辺におけるH3K27acとH3K4me3のクロストーク、ならびに転写活性化におけるそれらの関係と役割について検討した。
このCRISPR/dCas9を用いた編集手法と、薬剤による阻害を組み合わせることで、遺伝子活性化におけるこれら2つのヒストン翻訳後修飾(PTM)の因果関係と、それに関連する分子メカニズムについての知見を得た。
- dCas9-SET (CD)によって、プロモーター領域にH3K27acを異所的に導入すると,転写開始点 (TSS)周辺へのH3K4me3濃縮が誘導され,転写が活性化された。
- 低分子JQ1を投与すると,ブロモドメイン (BRD)タンパク質によるH3K27acの読み取りおよびH3K27acによるH3K4me3の濃縮と下流の遺伝子発現が阻害された.
- さらに,BRD4ではなくBRD2が,H3K27acの書き込みに伴うH3K4me3の濃縮と遺伝子の活性化を仲介することも明らかになった。
すなわち、H3K27acは、アセチル化ヒストン認識タンパク質であるBRD2を介してH3K4me3の増加を促進する(逆方向の作用ではない)上流のエピジェネティックな修飾であり、転写活性化の引き金となることが示唆された。
プロモーター領域におけるH3K4me3は活性型遺伝子と正の相関を示し、遺伝子発現を再活性化させることも報告されているが、ここで用いたCRISPR/dCas9編集手法の標的遺伝子座においては、H3K4me3の存在だけでは遺伝子活性化に不十分であることも明らかになった。
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