[出典] "Diverse transcriptional regulation and functional effects revealed by CRISPR/Cas9-directed epigenetic editing" Vizoso M, van Rheenen J. Oncotarget. 2021-07-27 accepted. https://doi.org/10.18632/oncotarget.28037
 The Netherlands Cancer Instituteの研究チームは今回,CRISPR/dCas9技術 (dCas9-DNMT3ACD)によって,DNAメチル化の部位特異的エピジェネティック編集に応用し,異なる腫瘍環境における候補遺伝子の転写変化と細胞運命への機能的影響を明らかにした.
 IGFBP2 遺伝子プロモータを標的とする概念実証実験において,メチル化効率90%を達成し,また,編集結果が娘細胞へと長期にあわり正確に継承されることを見出した.一方で,驚くべきことに,このエピゲノム修飾は,異なる癌細胞モデルにおいて,互いに相反する遺伝子発現プロファイルをもたらし,CDH1, VIM1, TGFB1 およびアポトーシスマーカーであるBCL2 の発現に影響を与えた.
 また,メチル化による遺伝子発現プロファイルの変化は,細胞移動や細胞形態などの表現型の切替を伴った.IGFBP2 プロモーターのDNAメチル化の獲得は、上皮性腫瘍細胞における間葉系様遺伝子の発現レベルを増加させ,MCF7細胞の細胞形態を変化させ、移動速度を増加させた.