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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Interrogation of the dynamic properties of higher-order heterochromatin using CRISPR-dCas9" Gao Y, Han M, Shang S, Wang H, Qi LS. Mol Cell. 2021-08-23. https://doi.org/10.1016/j.molcel.2021.07.034; Graphical Abstract https://els-jbs-prod-cdn.jbs.elsevierhealth.com/cms/attachment/49ddbb11-c06b-4a65-b2a7-7a87ff483e67/fx1.jpg
[背景]
 Stanford UのL. S. Qiのグループは先行研究で,ヒトゲノムの標的遺伝子座に結合するdCas9-sgRNAに植物ホルモンのアブシジン酸 (ABA)シグナル伝達調整因子ABIドメインを融合し,関心のある核分画にABA受容体PYL1を融合しておくことで,ABA添加によるABIとPYL1の二量体化を介して,標的遺伝子座を関心のある核分画へと誘導・係留し,ABA除去によって遊離する技術を開発していた.この技術とdCas9-HaloTagなどを介した可視化技術を組み合わせることで,標的遺伝子座の核内における局在がクロマチンの動態や転写に及ぼす影響の解析を実現した [2018-10-12 CRISPR-GO:CRISPR技術、核内でのゲノム空間構造の可逆的編集へと進む. https://crisp-bio.blog.jp/archives/12823974.html; "CRISPR-Mediated Programmable 3D Genome Positioning and Nuclear Organization" Wang H, Xu X, Nguyen CM, Kipniss NH, Russa ML, Q LS. Cell. 2018 Oct 11 https://doi.org/10.1016/j.cell.2018.09.013]
[成果]
  L. S. Qiは今回,ABI-dCas9-sgRNAに,PYL1-HP1α (クロモドメインとクロモシャドウドメイン)とABAを組み合わせることで,ヘテロクロマチンの構成要素を数十キロベースの内因性ゲノム領域に誘導的かつ可逆的に結合させる手法,CRISPR-EChO (CRISPR-Engineered Chromatin Organization)を開発した.
  • CRISPR-EChOを利用して,ヒトHP1αを大規模なゲノム領域にタイリングし,それがクロマチンの状態,遺伝子発現,および動的なクロマチンの挙動に及ぼす影響を生細胞内で解析した.
  • dCas9-HP1αのタイリングは,長距離のクロマチン相互作用をin cis にもin trans にももたらした.
  • HP1αの重合が,遠位の遺伝子転写を阻害し,構造安定性をもたらした.
  • dCas9-HP1αのタイリングは,クロマチンの共局在と圧縮をみたらした.
  • HP1αが,真核生物の高次ヘテロクロマチン構造の形成に多面的な役割を果たしていることが示された. 
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