[出典] "CRISPR/Cas9 mediated somatic gene therapy for insertional mutations: the vibrator mouse model" Zhu J, Duan Y, Lu P, Zhang K, Fu X. Precis Clin Med. 2021-08-19. https://doi.org/10.1093/pcmedi/pbab021
 上海交通大学医学部附属病院,UCSD,広州医科大学およびマカオ科学技術大学の研究グループからの論文
  • モデルマウスvb の変異は,Pitpnα遺伝子の第4イントロンに内因性レトロウイルス(intra-cisternal A particle; IAP)が挿入されることで生じ,このレトロウイルスが新生転写産物の正常なプロセシングを阻害することで,PITPαタンパク質の発現が5分の1にまで抑制される.
  • 研究グループは,AAVを介してCRISPR/Cas9を送達することでvb IAP配列を除去し,vb マウスの脳と脊髄におけるPitpnα 遺伝子の発現を修復することに成功した.
  • レシピエント細胞のIAP配列を体細胞で欠失させると,組織レベルのPITPα発現が一部回復した.
  • より重要なことに,IAP欠失によって,vb マウスの動作振顫と神経変性の進行が抑制され,生存率が向上した.
 本研究は,中枢神経系の神経細胞を標的とする生後の遺伝子治療のアプローチとして有望であることを示した.