[出典] NEWS "India’s DNA COVID vaccine is a world first – more are coming" Mallapaty S (Senior Reporter, Sydnew). Nature. 2021-09-02. https://doi.org/10.1038/d41586-021-02385-x
インドの医薬品規制当局は8月20日に,インドの製薬会社Zydus Cadila社が開発したDNAワクチン"ZyCoV-D"の12歳以上を対象とする緊急使用を承認した.デルタ型が主として流行している時期に行われた28,000人以上を対象とした臨床試験では,有症のCOVID-19患者がワクチン接種群とプラセボ投与群でそれぞれ21件と60件発生した.有症のCOVID-19に対する有効性は66.6%,中等症と重症のCOVID-19に対する有効性は100%であった.
COVID-19に対するDNAワクチンの臨床試験はインドの他に,米国,イタリア,カナダ,韓国,タイ/オーストラリア, 日本 (アンジェス・阪大・武田薬品のAG0302-COVID19とAG0301-COVID19)で進んでおり,また,COVID-19以外の疾患に対するDNAワクチンも開発されているが,ZyCoV-DはヒトDNAワクチンとして世界初の承認である.
ZyCoV-Dは,SARS-CoV-2のスパイクタンパク質 (以下,Sタンパク質)の遺伝子と,この遺伝子を活性化するプロモーター配列を帯びたプラスミドで成り立っている.このプラスミドが細胞核に入ると,遺伝子がmRNAへと転写され,細胞質に移動してSタンパク質に翻訳される.このSタンパク質に対して体内の免疫システムが反応し,感染を防ぐための免疫細胞を生産する.ZyCoV-Dプラスミドは数週間から数ヶ月で分解される.
DNAワクチンは,mRNAワクチンと比較すると製造がより簡単で安全とされているが,細胞核まで到達し,続いて,mRNAへと翻訳される必要があり,これまでは動物用ワクチンとして承認されるに止まっていた.
ZyCoV-Dは筋肉注射ではなく,マクロファージが比較的大量に存在する皮膚直下へと無針注射器 [*]を使用して送達することで,免疫反応の迅速化と強化が図られたが,最低3回の接種が必要であり,この点,接種のロジスティックに課題がある.
[*] 近未来テクノロジー見聞録 第13回 針のない注射器で筋肉注射は可能?Mapionニュース. 2021-07-06 12:38. https://www.mapion.co.jp/news/column/cobs2261497-1-all/
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