2021-10-21 米国FDAは現地時間の20日に,モデルナ製の新型コロナワクチンとヤンセン (ジョンソン&ジョンソン)のワクチンについてもブースター (追加接種)を認めた.CDC (疾病対策センター)の勧告を経て,実施する見込み (CDCは21日に諮問委員会を開催する予定)

[出典] Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Takes Additional Actions on the Use of a Booster Dose for COVID-19 Vaccines. FDA 2021-10-20

  • モデルナ製ワクチン:経過対象は,65歳以上,18~64歳で重症化リスクを伴う18-64歳, および,施設または職業上SARS-CoV-2に頻繁にさらされる18~64 歳で,2回接種完了後少なくとも6ヶ月経過後.
  • ヤンセン (ジョンソン&ジョンソン)製ワクチン:対象は18歳以上で1回接種を完了後少なくとも2ヶ月経過後
  • [念の為 (to clarify)] ファイザー・ビオンテック製ワクチン:対象は施設または職業上SARS-CoV-2に頻繁にさらされる18~64 歳で,2回接種完了後少なくとも6ヶ月経過後
  • ブースターとして異なるメーカーのワクチン接種を承認

2021-09-25 米国CDCブースター接種推奨を発表 
[出典] "Booster Shot" CDC 2021-09-24更新 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/booster-shot.html

  1. ファイザー・ビオンテックのmRNAワクチンの2回接種完了と少なくとも6ヶ月後に,65歳以上,18歳以上の長期療養者,および,基礎疾患のある50-64歳への接種を推奨 (should receive a booster shot).
  2. また,基礎疾患のある18~49歳,および,職業上または施設内でのCOVID-19に暴露または感染のリスクが高い18-64歳は,個人個人のメリットとリスクに基づいて,ブースター接種を受けてもよい (may receive a booster shot)
[注]  文書には,ブースター接種の必要性,対象グループが選ばれた理由,および「COVID-19に暴露または感染のリスクが高い」職種の説明が付されている.

2021-09-20 初稿 (Lancet 誌掲載報告,NEJM 誌掲載報告,および米国FDA諮問員会の判断)
1. Lancet 掲載報告

[出典] VIEWPOINT "Considerations in boosting COVID-19 vaccine immune responses" Krause PR (FDA) [..] Henao-Restrepo A-M (WHO). Lancet 2021-09-13. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02046-8

  • 書誌情報に記入したように米国FDAとWHO所属の科学者を含む著者らが,各地で行われた臨床検査の結果や実社会でのワクチン接種に関する研究論文を分析した上で,ワクチンの2回接種は,デルタ変異株による症候性疾患と重症疾患の両方に対して、依然として十分な予防効果があり、健康に問題のない人々に対する3回目の追加接種は現時点で必要ないと結論付けた (既存の報告については,大規模で厳密な臨床試験のデータが十分ではなことや,観察研究では交絡因子の検証が不十分といった評価をしている).
  • これらのワクチンの供給量は限られている中で,ブースターとしての接種よりも,ワクチン未接種者への接種を優先することで,ワクチン接種感染の広がりひいては変異株のさらなる進化を抑制し,(地球規模の)パンデミックの終息を早めることができる.

2. NEJM 掲載報告

[出典] ORIGINAL ARTICLE "Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel" Bar-On YM et al. NEJM 2021-09-15. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2114255

 イスラエルにて,2021730日から831日までの期間に,60歳以上で少なくとも5カ月前までにBNT162b22回接種した1,137,804人に関するデータを解析した結果: 

  1. 12日以上前にブースター接種を受けたブースター群と受けていない非ブースター群の間で,COVID-19感染が確認された割合と重症化した割合を比較し,3回接種者は2回接種者に比べて、感染リスクが11倍、重症リスクが20倍少ないと結論した.
  2. ブースター接種の46日後の感染率と,少なくとも12日経過後の感染率と比較し,12日以上経過後に感染が確認された割合は,46日経過後に感染が確認された割合よりも5.4倍低かった.

3. FDA諮問委員会の勧告 (Reuters 報道)

[出典] “FDA advisers recommend COVID boosters for 65 and older, reject broad approval” Erman MM, Steenhuysen J,  Maddipatla M. Reuters. 2021-09-18 09:37. https://www.reuters.com/world/us/us-covid-19-booster-debate-moves-fda-vaccine-advisory-committee-2021-09-17/

 FDAのワクチンならびに関連生物製剤に関する諮問委員会は17日に,「6ヶ月前に2回目の接種を受けた16歳以上へのファイザー・ビオンテック社ワクチンのブースター接種推奨」を,16対2で否決した.16歳以上全てを対象として承認する裏付けが不十分であるとし、特にワクチン接種後の若年層における心臓の炎症のリスクに関する安全性データをさらに確認することを求めた.

 一方で,65歳以上の米国人と重症化のリスクが高い人に推奨することを全員一致で決議した.また、医療従事者や、教師などCOVID-19の原因となるウイルスに職業的にさらされるリスクの高い人も対象に含めるよう、委員会は勧告した.

 FDAは委員会の勧告に拘束されることはないが,それを考慮した上で,3回目の接種に関する決定を間もなく下す予定である.また,米国疾病管理予防センター (CDC)の諮問委員会は,922日と23日に会合を開き,予防接種の対象者への推奨事項を議論する予定である.