2022-11-22 継続審議とされていた塩野義製薬のゾコーバが緊急承認された (11-23 誤字訂正)
2022-11-08 「ファイザーの飲み薬パクスロビッド™が、後遺症のリスクを低減する」という報告がmedRxiv に投稿された。比較的大規模な臨床例を元にしている:[20221108更新] 新型コロナウイルスの後遺症 (ロングCOVID) - 2022-11-08 飲み薬PaxlovidはCOVID後遺症のリスクを低減する. https://crisp-bio.blog.jp/archives/26969338.html
2022-10-02 新たな飲み薬候補:ACE2を含むSARS-CoV-2感染に関与する一連のタンパク質のS-ニトロシル化
- ゾコーバⓇは、3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制する1日1回、5日間投与の経口抗ウイルス薬であり、軽症の段階で重症化リスクが低いCOVID-19患者にも投与可能である。
- 12歳~60代のCOVID-19軽症
軽傷から中等症を対象とする1,821件の症例が、重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無に関わらず、COVID-19の特徴的な5種類の症状全てが7日前後で消え、4日目の段階でウイルス量が顕著に減少することを示し、また、重篤な副作用は見られなかった [塩野義製薬ニュース 2022-11-22 ;塩野義製薬ニュース 2022-09-28;NHK 首都圏ナビ 2022-09-29;本記事2022-07-21の項参照] 。
2022-10-02 新たな飲み薬候補:ACE2を含むSARS-CoV-2感染に関与する一連のタンパク質のS-ニトロシル化
[出典] "Targeted protein S-nitrosylation of ACE2 inhibits SARS-CoV-2 infection" Oh CK [..] Lipton SA. Nat Chem Biol 2022-09-29. https://doi.org/10.1038/s41589-022-01149-6 [著者所属] Neurodegeneration New Medicines Center, Scripps Research Institute, UCSD, EuMentis Therapeutics Inc.
SARS-CoV-2の感染と伝播の抑止が、COVID-19のパンデミックに対する最優先事項である。研究チームは今回、標題のS-ニトロシル化によって、ACE2とSARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合が阻害され、ウイルスの侵入、感染性、細胞毒性が抑制されることを同定した。また、アミノアダマンタン [*](メマンティン)化合物が、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質近位に位置しウイルスの細胞への侵入を促進するエンベロープ(E)タンパク質が形成するコロナウイルスのイオンチャネルを阻害することも同定した。
[*] アミノアダマンタンは欧州でパーキンソン病治療薬として長年利用され、その後、米国にてアルツハイマー病の治療薬として承認されていた。
[*] アミノアダマンタンは欧州でパーキンソン病治療薬として長年利用され、その後、米国にてアルツハイマー病の治療薬として承認されていた。
研究チームはこうした知見に基づいて、Eタンパク質のイオンチャネルを遮断した後、ACE2をS-ニトロシル化することによりウイルスの侵入を阻害しひいては感染拡大を抑制するデュアルメカニズム型アミノアダマンタン硝酸塩化合物 (NMT5)を開発した。低分子NMT5は毒性を示さず、経口投与したシリアンハムスターCOVID-19モデルにおいて活性を示し、COVID-19療法の新たな治療薬候補であることを示唆した。
2022-07-25 ウイルスのメインプロテアーゼを標的とし,現時点で最も効果的な飲み薬と評価されているファイザーのパクスロビッドに対する耐性を帯びた変異株が,研究室内の実験および感染者由来のSARS -CoV-2ゲノムデータを集積しているGISAIDデータベースから同定され始めている [*].幸にして,そうした変異株の感染拡大はまだ報告されていないが,感染拡大ひいては変異拡大が続くSARS-CoV-2に対して,パクスロビッドに続く飲み薬が待たれる.[*] “Bad news fro Paxlovid? Resistance may be coming” Service RF. Science 2022-07-08. https://doi.org/10.1126/science.add8037
2022-07-21 塩野義製薬の新型コロナ治療薬候補·ゾコーバ錠の「緊急承認」申請は,「継続審議」とされ承認されなかった.ゾコーバ錠ついては,塩野義製薬の臨床データの扱いに対する批判が上がった中で,日本経済新聞は社説「何のための薬の「緊急承認制度」なのか」を公開した2022-03-06 塩野義製薬,ファイザー・ビオテンテックのコミナティ2回接種後のブースター接種において,S-268019の有効性と安全性がコミナティーと同等と発表
[出典] 塩野義製薬ニュース: 2022-03-04 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の 国内第2/3相追加免疫比較試験に関する中間報告(速報)について. https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/03/20220304.html;コミナティ2回接種後6ヵ月以上経過した成人206例を対象とする第2/3相国内追加免疫比較試験の中間報告から.
[資料] 3月4日 COVID-19ワクチン「S-268019」の第2/3相追加免疫比較試験に関する説明会
[資料] 3月4日 COVID-19ワクチン「S-268019」の第2/3相追加免疫比較試験に関する説明会
資料 (PDF) https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-materials/fy2021/j20220304-2.pdf:21ページ SARS-CoV-2中和抗体価の幾何平均抗体価(GMT);22ページ Day 29のSARS-CoV-2中和抗体価の抗体応答率;27ページ 副反応(治験薬との因果関係が「関連あり」と判定された有害事象);28ページ 副反応(事象、5%以上)
2022-02-25 塩野義製薬,条件付き早期承認制度の適用を申請[出典] プレスリリース "新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の国内における製造販売承認申請について" 塩野義製薬 2022-02-25. https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/2/220225.html
[注] 4日目(3回投与後)において有意にウイルス力価を減少 (主要評価項目達成); COVID-19の12症状の改善効果は、プラセボ群と有意差なし (主要評価項目を達成せず)、ただし、呼吸器症状 (鼻水または鼻づまり,喉の痛み,咳,息切れ (呼吸困難)の合計スコアには改善の有意差あり.
2022-02-08 塩野義製薬プレス発表
[出典] "新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の 第2/3相臨床試験Phase 2a partの結果について" SHIONOGI 2022-02-07. https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/2/20220207.html
S-217622の第2/3相臨床試験のうち第2a相試験(感染者47例)の解析結果を発表した.
- S-217622の機構:SRAS-CoV-2のヒト細胞内での増殖に必要とするウイルス自身に由来する3CLプロテアーゼ*を阻害する [* 3CLプロテアーゼはファイザーのパクスロビドの標的でもある].
- 用法:1日1回,5日間経口投与
- 抗ウイルス効果:速やかにウイルス力価およびウイルスRNA量が減少;4日目(3回投与後)にはウイルス力価の陽性患者割合をプラセボ群と比較して約60~80%減少;ウイルス力価が陰性になるまでの時間の中央値を,プラセボに対して2日短縮
- 臨床症状に及ぼす影響:S-217622投与群では投与後に入院、あるいは入院に準ずる療養が必要となる重症化患者の発生はゼロ.
- 副作用: 高度,重篤ならびに治験中止の原因となる有害事象・副作用は見られなかった.
- 今後の予定:軽症/中等症患者の第2b相試験への登録が終了し,近日中に第3相試験へ移行予定
- [注] 塩野義製薬は経鼻ワクチンも開発中 https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/informations-for-id/covid19-initiative.html
[*出典] [1] FDA NEWS RELEASE Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Authorizes First Oral Antiviral for Treatment of COVID-19; [2] FDA NEWS RELEASE Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Authorizes Additional Oral Antiviral for Treatment of COVID-19 in Certain Adults
ファイザーは11月に「パックスロビドは,COVID-19関連の入院または死亡のリスクを89%減少させる」と発表していたが,FDAは今回,軽症から中等症のCOVID-19かつ入院または死亡のリスクが高い12歳以上で体重40 kg以上の患者への緊急使用を許可した.なお,パックスロビドは今回開発されたニルマトレルビル (PF-07321332) 150 mg 2錠と既存の抗ウイルス薬リトナビル100 mg 1錠で構成され,1日2回5日間服用する [5日を超えての投与は,重症者への投与と同様に,禁止].
メルクとリッジバック・バイオセラピューティクスは10月に「モルヌプラビルが高リスクのCOVID-19患者の入院や死亡のリスクを50%減少させる」と報告したが,最近そのリスク抑制が30%であることが判明していた.FDAは,「FDAが承認したCOVID-19の治療法にアクセスできないか,または,投与が適切で無く,入院や死亡のリスクが高い18 歳以上の患者に有用」として緊急使用を許可した.18歳以上という条件は,モルヌプラビルが骨と軟骨の成長に影響するために加えられた.
ワシントンポスト紙 [*]によると,「モルヌプラビルはその効能に対して治療薬を逃避する変異株を生み出すリスクが高い」「少なくとも第1選択薬ではない」と,今回のFDAの判断に対する批判もある.一方で,オミクロン株による感染拡大を目にして,「0%よりマシ」とする声もあり,また,1月末までの供給量としてファイザーは数十万コースに留まるようだが,メルクは300万コースを提供すると見込まれている. [* Johnson CY. The Washington Post. 2021-12-23 11:05 EST/]
パックスロビドも モルヌプラビルも発症から5日以内の投与を前提としている.オミクロン株感染の場合は比較的軽症という報道や,ブレークスルー感染の場合は当初,風邪やアレルギー反応のような症状を呈することがあるという報道 [**]もあることから,実社会では投与開始のタイミングが課題になるかもしれない [** Hawkins D, Bever L. The Washington Post 2021-12-23 13:43 EST]
パックスロビドも モルヌプラビルも発症から5日以内の投与を前提としている.オミクロン株感染の場合は比較的軽症という報道や,ブレークスルー感染の場合は当初,風邪やアレルギー反応のような症状を呈することがあるという報道 [**]もあることから,実社会では投与開始のタイミングが課題になるかもしれない [** Hawkins D, Bever L. The Washington Post 2021-12-23 13:43 EST]
2021-12-16 11:35 ファイザーの飲み薬パクスロビッド™への期待
[出典] "Pfizer's Paxlovid Holds Up" Lowe D. Science. 2021-12-14. https://www.science.org/content/blog-post/pfizer-s-paxlovid-holds
2021-12-08 オミクロン株対応
ファイザーCEOのAlbert Bourla氏は「ウイルスのプロテアーゼを阻害するPAXLOVID™ は,オミクロン株を含むこれまでの変異株全てに有効[*]と確信しているとコメントした [*1] .その根拠として,新型コロナウイルスの中で,スパイクタンパク質の部分は高頻度で変異してウイルスにワクチンや治療薬を免れる特徴をもたらす可能性が高いが,ウイルスがプロテアーゼ無しで増殖することは「不可能ではないが,かなり難しい」 [*2]と述べた.
[出典] "Pfizer's Paxlovid Holds Up" Lowe D. Science. 2021-12-14. https://www.science.org/content/blog-post/pfizer-s-paxlovid-holds
パクスロビッド (Paxlovid™) は,PF-07321332 (ニルマトルビル)と既存薬リトナビルとの合剤である.
ファイザー が14日に発表した臨床データによると,ワクチン未接種で肥満や年齢などの危険因子を少なくとも一つ帯びている高リスクな患者群において入院を予防する効果は,中間報告時と同レベルの89%であった.詳しくは,パクスロビッド投与群では697人中5人が入院し、死亡者は全く出ず,パクスロビッドを投与せずこれまでの標準的な治療をした682人中44人が入院し,そのうち9人が死亡した.
また,入院または死亡に対する有効性が,症状が出てから3日以内に服用した場合と5日以内に服用した場合で変わらず,実社会での利用を期待できる.
ワクチン未接種で危険因子を帯びていない標準的リスクの患者群では,プラセボ服用との有意差は見られなかった.ただし,高リスク患者群と同様に,5日間の治療でウイルス量は10分の1に低下しており,プラセボ投与群のサイズが大きければ有意差が見られた可能性もある.
抗ウイルス剤治一般に注意すべきことがある.薬剤耐性である.既存の抗生物質に対する耐性を獲得したバクテリアの出現が深刻な問題になっているように,抗ウイルス剤に対しても,服用する人が多ければ多いほど,耐性を獲得したウイルスが出現するリスクが高まる.今回の報告で,高リスク患者群と標準リスク患者群が対照的な結果を示したことを受けて,完全なワクチン接種を済ませており危険因子を帯びていない場合は,服用すべきではないと考える.
耐性株発生の確率を下げるには作用機序が異なる2種類の薬剤を併用することが有効である.パクスロビッドに対して標的が異なるメルクのモルヌピラビルについては,後期臨床試験結果において,重症化リスク低減効果が中間報告の50%から30%へと低下[*]という失敗 ("flop")といっていい状況のため,パクスロビッドとモルヌピラビルの併用療法には期待できなそうだ [*] JIJI.COM 2021-11-26 23:37].なお,モルヌピラビルの後期臨床試験において重症化問題は試験対照群においてデルタ株が増加したためという説もあるが,その説は確定されていない.
パクスロビッドのオミクロン株に対する有効性についてファイザーは,研究室での実験では有効性を確認したとしている.「パクスロビッドが標的とするのはオミクロン株で多数の変異が同定されているスパイクタンパク質ではなく,変異が一ヶ所 (P132H)だけであった主要プロテアーゼであることから,パクスロビッドはオミクロン株にも有効であろう」と言う期待は,まだ,裏切られていない.
ところで,パクスロビッドに組み込まれたリトナビル (商品名 ノービア, カレトラ, ヴィキラックス)自身は,コロナウイルスに対する抗ウイルス作用を持っていないが,肝臓における薬物代謝酵素チトクロームP-450を阻害することでニルマトルビルの血中濃度を高めてその作用を増強する役割を担っている.
パクスロビッドにリトナビルが含まれていることは,チトクロームP-450によって代謝される重要な薬剤を服用している患者への投与を避けることを検討することになるが,高リスクなCOVID-19患者の多くがそういう患者である可能性が高い.
パクスロビッドの実社会での利用におけるもう一つの課題は供給である.ファイザーの言う「2021年中に20万コース分,来年8,000万コース分」は多いようでいて世界対応には不十分であり,この観点からも,パクスロビッドの投与は高リスクの症例に限定することを強く主張する.
2021-12-08 オミクロン株対応
ファイザーCEOのAlbert Bourla氏は「ウイルスのプロテアーゼを阻害するPAXLOVID™ は,オミクロン株を含むこれまでの変異株全てに有効[*]と確信しているとコメントした [*1] .その根拠として,新型コロナウイルスの中で,スパイクタンパク質の部分は高頻度で変異してウイルスにワクチンや治療薬を免れる特徴をもたらす可能性が高いが,ウイルスがプロテアーゼ無しで増殖することは「不可能ではないが,かなり難しい」 [*2]と述べた.
[出典] "Pfizer CEO says omicron appears milder but spreads faster and could lead to more Covid mutations" Kimball S. CNBC 2021-12-07 10:58: [*1] "Pfizer is confident that its oral antiviral medication, Paxlovid, will fight omicron and every other variant of the virus that has emerged so far"; [*2] “It's’s not impossible. It’s very difficult.”
メルクは,モルヌピラビルの日本国内での使用を認めるよう厚生労働省に承認を申請していたが,愛知医科大学の森島恒雄客員教授によると,モルヌピラビルも,PAXLOVID™とは異なる仕組み [*3]であるが,ヒト細胞内でのウイルス増殖を阻害する薬剤なので,オミクロン株への治療効果を期待できる
[*3 ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する]
メルクは,モルヌピラビルの日本国内での使用を認めるよう厚生労働省に承認を申請していたが,愛知医科大学の森島恒雄客員教授によると,モルヌピラビルも,PAXLOVID™とは異なる仕組み [*3]であるが,ヒト細胞内でのウイルス増殖を阻害する薬剤なので,オミクロン株への治療効果を期待できる
[*3 ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する]
[出典] 「コロナ 飲み薬「モルヌピラビル」とは?効果や対象は?詳しく] NHK首都圏ナビ 2021-12-06.
2021-11-05 22:01 投稿タイトルを「新型コロナウイルス: 飲み薬が見えてきた」から「新型コロナウイルス: 飲み薬が増えてきた」に改訂
2021-11-05 21:53ファイザー社,新型コロナウイルスの飲み薬PAXLOVID™ (PF-07321332;ritonavir/リトナビル)の第2/3相EPIC-HR [*]試験の中間解析の結果を「入院または死亡のリスクを89%低減」として発表した.この臨床試験は,重症化のリスクが高く,入院していないCOVID-19成人患者を対象として進行中である.なお,11月4日に英国医薬品規制当局が「メルク・リッジバック・バイオセラピューティクスの飲み薬モルヌピラビルを承認した」と発表した [Reed J. BBC NEWS 2021-11-04].
2021-11-05 22:01 投稿タイトルを「新型コロナウイルス: 飲み薬が見えてきた」から「新型コロナウイルス: 飲み薬が増えてきた」に改訂
2021-11-05 21:53ファイザー社,新型コロナウイルスの飲み薬PAXLOVID™ (PF-07321332;ritonavir/リトナビル)の第2/3相EPIC-HR [*]試験の中間解析の結果を「入院または死亡のリスクを89%低減」として発表した.この臨床試験は,重症化のリスクが高く,入院していないCOVID-19成人患者を対象として進行中である.なお,11月4日に英国医薬品規制当局が「メルク・リッジバック・バイオセラピューティクスの飲み薬モルヌピラビルを承認した」と発表した [Reed J. BBC NEWS 2021-11-04].
[*] Evaluation of Protease Inhibition for COVID-19 in High-Risk Patients
[出典] NEWS "Pfizer’s Novel COVID-19 Oral Antiviral Treatment Candidate Reduced Risk Of Hospitalization Or Death By 89% In Interim Analysis Of Phase 2/3 EPIC-HR Study" Pfizer 2021-11-05 06:45 am EST. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizers-novel-covid-19-oral-antiviral-treatment-candidate
[出典] NEWS "Pfizer’s Novel COVID-19 Oral Antiviral Treatment Candidate Reduced Risk Of Hospitalization Or Death By 89% In Interim Analysis Of Phase 2/3 EPIC-HR Study" Pfizer 2021-11-05 06:45 am EST. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizers-novel-covid-19-oral-antiviral-treatment-candidate
- 症状発現後3日以内に投与された患者のCOVID-19に起因する入院またはあらゆる原因による死亡のリスクが,プラセボと比較して89%減少した.PAXLOVID™投与後28日目までに入院した患者は0.8% (3/389人が入院; 死亡 ゼロ)であったのに対し,プラセボを投与された患者の7.0%が入院または死亡した (27/385人が入院; 7人がその後死亡).
- 症状発現後5日以内にPAXLOVID™を投与された患者にも同様の減少が認められた.投与後28日目までに入院したのは1.0% (入院6/607人; 死亡ゼロ)であった一方で,プラセボ投与患者では6.7% (入院 41/612人; 死亡 10人).
- 全体として見ると投与後の28日後まで,PAXLOVID™投与患者の死亡例がゼロであった一方で,プラセボ投与患者の死亡例は10例 (1.6%)であった.
- PAXLOVID™の安全性はプラセボと同程度でああった.1,881人のコホートにおいてPAXLOVID™投与患者とプラセボ投与患者の有害事象発生は19%と21%,重篤有害事象は1.7%と6.6%, 臨床試験中止に至った有害事象は2.1%と4.1%であった.
2021-09-30 初稿
COVID-19に対する飲み薬として,モルヌピラビル, AT-527, PF-07304814/PF-07321332などの第II/III相試験が進行しており,9月27日にはファイザー社,28日には塩野義製薬からプレス発表があった.
[ファイザー] PRESS RELEASE "Pfizer Starts Global Phase 2/3 EPIC-PEP Study of Novel COVID-19 Oral Antiviral Candidate for Post-Exposure Prophylaxis in Adults" 2021-09-27 06:45am. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-starts-global-phase-23-epic-pep-study-novel-covid-19
COVID-19に対する飲み薬として,モルヌピラビル, AT-527, PF-07304814/PF-07321332などの第II/III相試験が進行しており,9月27日にはファイザー社,28日には塩野義製薬からプレス発表があった.
[ファイザー] PRESS RELEASE "Pfizer Starts Global Phase 2/3 EPIC-PEP Study of Novel COVID-19 Oral Antiviral Candidate for Post-Exposure Prophylaxis in Adults" 2021-09-27 06:45am. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-starts-global-phase-23-epic-pep-study-novel-covid-19
COVID-19感染症の予防を目的として,新規経口抗ウイルス剤候補であるPF-07321332を低用量のリトナビルと併用して評価する第2/3相試験 "EPIC-PEP(Evaluation of Protease Inhibition for COVID-19 in Post-Exposure Prophylaxis9"を開始すると発表した.
- PF-07321332は経口薬として設計された抗ウイルス剤であり,SARS-CoV-2が感染細胞内で自己複製に必要なタンパク質の合成に必要なペプチド結合加水分解酵素"3CLプロテアーゼ"を阻害する.
- 前臨床試験でin vitroでの強力な抗SARS-CoV-2活性を確認し,第1相臨床試験にて,安全性と良好な忍容性を確認した.
- EPIC-PEPは,投与後14日目までのSARS-CoV-2感染とその症状の予防に関する安全性と有効性を評価する.
- EPIC-PEPの参加者として18歳以上の健康な成人被験者を最大2,660名登録する予定である.
- 参加者は,PF-07321332/リトナビルまたはプラセボを1日2回,5日間または10日間,経口投与される.
- A Study of PF-07321332/Ritonavir in Nonhospitalized High Risk Adult Participants With COVID-19 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04960202
- A Study of PF-07321332/Ritonavir in Non-hospitalized Low-Risk Adult Participants With COVID-19 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05011513
- A Post-Exposure Prophylaxis Study of PF-07321332/Ritonavir in Adult Household Contacts of an Individual With Symptomatic COVID-19 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05047601
[塩野義製薬] プレス発表 "新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の国内第2/3相試験の開始について" 2021-09-28 https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/09/210928.html
- 経口投与型の抗ウイルス薬 (開発番号:S-217622)の国内第2/3相臨床試験を9月27日に開始しした.
- S-217622は,北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製した3CLプロテアーゼ阻害薬である.
- 2021年7月から開始したS-217622の国内第1相臨床試験にて,これまでのところ,安全性上の大きな問題は認められておらず,目標とする血中薬物濃度を上回る結果を得ている.
- 本試験では,軽症のCOVID-19患者または無症状のSARS-CoV-2感染者を対象に,プラセボ投与群を対照として,S-217622を1日1回,5日間経口投与した際の有効性および安全性を評価する.
- AT-527は,軽症又は中等症のCOVID-19非入院患者を対象とする国際共同第III相臨床試験が2021年4月に開始された.
- モルヌピラビルの国際共同第Ⅲ相試験MOVe-OUT (Part2)が6月には国内でも開始された.
[COVID-19治療薬開発の参考資料] COVID-19に対する候補薬剤及び開発状況 (第3版) 渡部 克枝, 杉浦 亙, 國土 典宏. COVID-19有識者会議. 2021-07-16 10:15PM. https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/6733
この中の「II. 開発中の新規薬剤」にて,飲み薬 (低分子化合物)として,モルヌピラビル,AT-527, およびファイザーのPF-07304814/PF-07321332について,解説されている.
この中の「II. 開発中の新規薬剤」にて,飲み薬 (低分子化合物)として,モルヌピラビル,AT-527, およびファイザーのPF-07304814/PF-07321332について,解説されている.
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