[出典] RESEARCH HIGHLIGHT "Tiny particles could make a powerful COVID vaccine" Nature. 2021-09-23. https://doi.org/10.1038/d41586-021-02561-z
 COVID-19に対してワクチンとして例外的に高い有効性を示したmRNAワクチンは,接種後に体内でSRAS-CoV-2の中でスパイクタンパク質の部分だけを大量に生成することで,ヒトの免疫系を活性化する.ワシントン大学 (シアトル)のDavid VeeslerとNeil Kingが率いる研究グループは,スパイクタンパク質の中で,ヒトの受容体ACE2に結合する領域 (receptor binding domain, RBD)の断片をベースとするワクチンを開発した.
  • 数十個のRBDを帯びた極めて小さな粒子 (ナノ粒子, NP)をサルに注射したところ,これによって,アルファ, ベータ, ガンマおよび関連する動物のコロナウイルスに対して中和抗体を誘発し,現在,
  • このRBDに結合するNP (RBD-NP)の第1/2相試験 (NCT04742738 ; NCT04750343)が進行中であり,第3相試験(NCT05007951)の資金を感染症流行対策イノベーション連合  (Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)から獲得したところである.
  • 研究グループはさらに,SARS-CoV-2を含むコロナウイルスの一種であるサルベコウイルスのRBDを混合したRBD-NPが,マウスにおいて,一連のコロナウイルスに対して中和抗体を誘発することも確認した.
[紹介論文]
  • "Elicitation of broadly protective sarbecovirus immunity by receptor-binding domain nanoparticle vaccines" Walls AC [..] King NP, Veesler D. Cell 2021-09-09 (Accepted; Journal Pre-proof) https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.09.015