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[ニュース] "New Chinese vaccine could bolster global arsenal" Cohen J. Science. 2021-10-01. https://doi.org/10.1126/science.acx9214
 9月22日に中国のClover Biopharmaceuticals (以下, Clover社)が,スパイクタンパク質をベースとしたワクチンSCB-2019 (CpG 1018/Alum)の試験結果を発表し [*],注目を集めている.
  • 中国企業は世界で使用されている60億本以上のCOVID-19ワクチンの半分を製造している.
  • すでに利用されている6種類の中国製ワクチンのうち4種類 (Sinovac社とSinopharm社)は,伝統的な不活化ワクチンであり,CanSino Biologics社はアデノウイルス・ワクチン,Zhifei Longcom Biopharmaceutical社のワクチンはSARS-CoV-2スパイクタンパク質を使用している.
  • Clover社のワクチンは,タンパク質生産細胞工場として長年利用されているCHO細胞 (チャイニーズハムスター卵巣細胞)で生産したスパイクタンパク質を含み,アルミニウム塩とDNAヌクレオチドを組み合わせたアジュバントを混合している.
  • 4大陸で18歳以上3万人の参加者を得た試験にて90日間の追跡調査を行い,全体として有効率67%を得 (ワクチン接種群で52例, プラセボ群で155例の感染症例),中等症と重症に対して84%,入院と死亡に対して100%の有効度を達成した.
  • ワクチンは,パンデミック初期に流行したSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をベースとして開発されたが,ガンマ変異株とデルタ変異株に対する全体の有効率はそれぞれ92%と79%に達した.しかし,ミュー変異株に対する有効率は59%に止まった.
  • 今回の試験では,参加者の49%が試験開始時にすでにSARS-CoV-2抗体を帯びていたことから,このワクチンのCOVID-19再感染に対する有意な有効率も出すことができ,結果は,64%であった.
  • 今回の発表を見る限りClover社のワクチンは,ブラジル, UAE, 中国広州などでの実社会での接種結果からその有効率に疑問がもたれているSinopharmやSinovacのワクチンよりも期待できそうだ.
 [*] Clover社プレスリリース
  • "Clover’s COVID-19 Vaccine Candidate Demonstrates 79% Efficacy Against Delta in Global Phase 2/3 SPECTRA [**] Trial Dominated by Variants of Concern and Interest" 2021-09-22. https://www.cloverbiopharma.com/news/83.html [**] Study Evaluating Protective-Efficacy and Safety of Clover’s Trimeric Recombinant Protein-based and Adjuvanted COVID-19 Vaccine.
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