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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[ニュースリリース] "Merck and Ridgeback’s Investigational Oral Antiviral Molnupiravir Reduced the Risk of Hospitalization or Death by Approximately 50 Percent Compared to Placebo for Patients with Mild or Moderate COVID-19 in Positive Interim Analysis of Phase 3 Study" Merck. 2021-10-01 18:00 ET. https://www.merck.com/news/merck-and-ridgebacks-investigational-oral-antiviral-molnupiravir-reduced-the-risk-of-hospitalization-or-death-by-approximately-50-percent-compared-to-placebo-for-patients-with-mild-or-moderat/
 米メルクとリッジバック・バイオセラピューティクス (Ridgeback Biotherapeutics)は10月1日,新型コロナウイルスの飲む薬モルヌピラビル (開発番号MK-4482)が,第3相試験MOVe-OUT(NCT04575597)の中間分析の結果,重症化リスクを半減させたと発表した:
  • モルヌピラビル投与群とプレセボ投与群について,29日目までに入院または死亡した患者がそれぞれ 385人 中28人 (7.3%)と,377人中43人 (14.1%)であり,死亡例はそれぞれ0人と8人であった.
  • 全ての被験者は重症化リスク因子を少なくとも1種類帯びていたが,有効性はリスク因子,また,発症時期には左右されなかった.
  • 被験者の40%のゲノム解析から,モルヌピラビルがガンマ,デルタおよびミュー変異株感染に対しても有効と判定した.
  • 副作用のレベルは,モルヌピラビル投与群とプレセボ投与群の間に有意差が無かった.
 メルクは今回の結果をもとに早急にFDAに緊急使用許可を申請するとしているが,年内1,000万人分生産の準備を進めている.

 [参考] モルヌピラビル全合成論文
  • [出典] "Evolving to an Ideal Synthesis of Molnupiravir, an Investigational Treatment for COVID-19" Benkovics T et al. ChemRix. 2020-12-23 [プレプリント]. https://doi.org/10.26434/chemrxiv.13472373.v1
  • 広く入手可能な汎用試薬,シンプルな手順,および堅牢な反応と分離のみを利用した効率的で持続的な合成法を確立した.
  • 革新的なリン酸リサイクルシステムを組み込んだ新たな生体触媒カスケードと最終的な縮合反応 過程の発明により,リボースからの合成過程を3過程へと短縮した.
  • 各過程は95%以上の収率であり,全体の収率を~70%と従来の合成法の約7倍にまで高めた.
  • これによって,世界へのCOVID-19 direct acting antivirals (DAA)薬剤モルヌピラビル供給の目処が立った.
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