[注] TE: transposal element
[出典] "Deciphering the synergistic and redundant roles of CG and non-CG DNA methylation in plant development and TE silencing" Liang W [..] Qian W. New Phytol 2021-10-16. https://doi.org/10.1111/nph.17804
 北京大学の研究グループが,CRISPR/Cas9による一連のDNAメチル化酵素のノックアウト実験をベースとして,シロイヌナズナでは、CGと非CGのDNAメチル化が相乗的かつ冗長的に,生殖能力の発達,植生の発達,およびTEのサイレンシングを制御していることを明らかにした.
  • 植物では,DNAメチル化が,CG,CHG,CHHの3種類の配列コンテクストで発生するが知られており,また,それぞれのコンテクトにおけるシトシンに作用するMET1, CMTs,DRMsなどのDNAメチル化酵素も同定されている.一方で,CGのメチル化とCG以外のメチル化の作用の組み合わせの効果についてはよく分かっていない.
  • 研究グループは,CRISPR/Cas9によりmet1 変異を,drm1drm2cmt2,およびcmt3 の4重変異体ddcc に導入した5重変異体を作出して,CGと非CGのDNAメチル化の相乗的かつ冗長的な役割を探った.
  • ホモ接合のddcc met1 5重変異体は胚性致死であったが,met1 変異体とddcc 変異体はいくつかの発生異常を示すだけであった.
  • ddcc met1 5重変異体は,意外にも,雄性配偶体を介した伝達が減少しているだけであった.
  • ddcc met1+/-変異体には,明らかなサイズ違いが見られたが,これは,DNAメチル化パターンではなくDNA損傷レベルの違いに由来していた.
  • また,ddcc met1+/-変異体では,一群のTEが特異的に活性化された.