crisp_bio

論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 Skolkovo Institute of Science and Technologyを主とする研究グループが,タイプIII CRISPR/Casシステムを構成するコンポーネントの構造と活性,生物学的意味,進化の歴史に関するデータをレビューした.加えて,AlphaFold2を用いた構造モデリングにより,これまで機能が特定されていなかったアーケアのHRAMP  [*1]シグネチャータンパク質が,タイプIII CRISPR/Casシグネチャータンパク質であるCas10の縮退した近縁であり,HRAMPシステムがタイプIII CRISPR/Casシステムまたはその祖先の子孫であることを示唆した.
 [*1] HRAMPはHalobacterial Repeat-Associated Mysterious Proteinに由来する ["Predicted highly derived class 1 CRISPR􏰀Cas system in Haloarchaea containing diverged Cas5 and Cas7 homologs but no CRISPR array" Makarova KS [..] Koonin EV. FEMS Microbiol Lett. 2019-04-17. https://doi.org/10.1093/femsle/fnz079]
 
[補足]
 タイプⅢ CRISPRシステムは,侵入ssDNAの切断,DNAから転写されたRNAのcrRNA依存選択的切断 (標的RNA切断),およびセカンドメッセンジャー (cOA)を介したウイルスRNAの非選択的分解の3種類の核酸切断機能を備えており,cOAパスウエイの発見によりタイプIII CRISPR/Casの免疫の分子機構が明らかになってきたが [*2],構成エレメントの各機能はまだ十分には解明されていない.
[*2]
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