[出典] "Target site selection and remodelling by type V CRISPR-transposon systems" Querques I, Schmitz M, Oberli S, Chavez C, Jinek M. Nature 2021-11-10. https://doi.org/10.1038/s41586-021-04030-z
 Martin Jinek が率いるUniversity of Zurichの研究グループからの論文:
  • CRISPR-Casシステムは,バクテリアにおける可動遺伝因子に対する適応免疫応答を担うとされていたが,タイプI-V, I-B, V-K CRISPR-Casシステムは,Tn7-様トランスポゾンにおいて, RNAにガイドされたトランスポゾン挿入に利用されている.
  • タイプ V-K CRISPR関連トランスポゾンは,,シュードヌクレアーゼCas12k,トランスポザーゼTnsB,AAA+ ATPase TnsC,および亜鉛フィンガータンパク質TniQ7に依存している.
  • シアノバクテリアScytonema hofmanni のCRISPR関連トランスポゾンシステム (CAST: CRISPR-associated transposase)から,Cas12k-sgRNA-標的DNA三者複合体と,標的DNAに結合したTnsCフィラメントの構造を,クライオ電顕法で再構成し,Cas12k複合体の複雑なsgRNAの構造と,標的DNA認識を担う重要な相互作用を明らかにした.
  • また,生化学実験によって,TniQがTnsCの重合を制限し,TnsBがTnsCフィラメントと直接相互作用して,ATPの加水分解に伴ってフィラメントの分解を引き起こすことを明らかにした。
  • これらの結果から,Cas12kがRNAを介して標的を選択することで,TnsCの重合とDNAの再構築が促進され,TnsBが部位特異的なトランスポゾン挿入を触媒するためのプラットフォームが生成されることが示唆された.
  • Parkら (Science, 2021) [1]のモデルと対照的に,今回の相互作用のデータと,Streckerら (Science, 2019) [2]の「TniQがin vitroでのShCASTの転位活性に必須ではない」というデータと合わせて,TniQがフィラメントのCas12k側の端をキャップすることで,TnsCの重合を標的部位の近傍に制限している可能性を示唆している.
 [構造情報] 2021-11-14時点で公開待ち
  • EMD-13486 (S. hofmanni Cas12k–sgRNA–DNA complex)
  • EMD-13489 (Tns-DNA filament)
  • 7PLA (Cas12k–sgRNA–DNA complex)
  • 7PLH (Tns–DNA filament)
  • 7OXD (TniQ)
 [関連crisp_bio記事]
  1.  [20211114更新 CRISPRシステムを伴うトランスポザーゼ'CAST'の構造基盤. https://crisp-bio.blog.jp/archives/26485609.html
  2. [20200628更新] CAST: Cas12kとトランスポザーゼの協働によりドナーDNAを効率よくノックイン. https://crisp-bio.blog.jp/archives/18164585.html
  3. 2019-07-19 トランスポゾンとCRISPR-Casシステムの協働によるDNAターゲッティングの構造基盤.https://crisp-bio.blog.jp/archives/18932554.html