[出典] "Structural basis for Cas9 off-target activity" Paces M [..] Jinek M. bioRxiv 2021-11-18 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2021.11.18.469088
 University of ZurichとCaribou Biosciencesの研究グループのbioRxiv 投稿.
[背景]
  • 配列の類似性からオフターゲット部位を予測する数多くの計算ツールが開発されてきたが,実際のオフターゲット切断イベントの大部分が予測を超えている.
  • Cas9は相補的なヌクレオチドが5個あればその部位に結合可能であるが,実際に切断し,細胞内で検出可能なオフターゲット編集をもたらす部位は比較的少数である.
  • これまでに,ターゲットDNAに結合したCas9複合体の構造がいくつか決定され,オンターゲット部位への結合と切断の構造基盤が明らかにされてきたが,オフターゲット編集の分子機構解明の手がかりとなる構造基盤は明らかにされてこなかった.
[成果]
  • 研究グループは今回, 真正な (bona fide)オフターゲットに結合したCas9三者複合体の包括的なセットの結晶構造を決定し,これらの構造から,Cas9のオフターゲット活性が,非標準的塩基対の形成とヘテロ二重鎖の形状の維持によってもたらされることが,明らかになった.
  • また,シード領域の連続したミスマッチが,これまで言われていたようなRNA鎖のバルジ形成ではなく,gRNAヌクレオチドの塩基スキップによって許容されることも明らかになった.
  • さらに,PAMから遠位でのミスマッチを含む3種類のオフターゲット複合体の構造は,ヘテロ二重鎖の塩基対が解除されCas9のRECドメインの活性化を阻害することを示唆した.
  • 今回の構造データは,オフターゲット認識を可能にするメカニズムの多様性を明らかにし、遺伝子編集に最適なCRISPR-Cas9複合体の設計の基礎となるものである。