[出典] "Mapping the proteo-genomic convergence of human diseases" Pietzner M, Wheeler E [..] Langenberg C. Science 2021-11-12. https://doi.org/10.1126/science.abj1541
データ提供Webサイトhttps://www.omicscience.org/apps/pgwas/
[著者所属] University of Cambridge, University of Cambridge School of Clinical Medicine, University College London,Health Data Research UK, University of Birmingham, GlaxoSmithKline, Berlin Institute of Health at Charité-Universitätsmedizin Berlin, German Research Center for Environmental Health, Universitätsklinikum Augsburg, German Centre for Diabetes Research, Vanderbilt University Medical Center, およびDuke University

 多くの疾患には,少なくとも部分的に,遺伝的な原因があるが,その原因は必ずしも解明されておらず,特定の治療法があるとは限らない.Pietznerらは,ヒトのさまざまな疾患の生物学的特徴を把握し,治療法の開発につながる手掛かりを見出すために,詳細なゲノムワイドなプロテオミクス・ゲノミクス (genome-wide proteogenomic; genome-proteome–wide association study (gpwas))を行った.
 著者らは,疾患に関連する可能性のある突然変異,特定のタンパク質,および病状の間の数千もの関連性を分析することで,研究コミュニティーが今後活用できる詳細なゲノム-プロテオーム-フェノームの関連情報を構造化した.また,この手法を結合組織障害,胆石,COVID-19感染症などの様々な疾患に適用した結果を示し,その中で,複数の疾患に関与する単一の遺伝子が存在することも示した.すなわち,同一の遺伝子が,タンパク質産物の変異を介して,複数の疾患を引き起こす例を1,800以上発見した.
  • SomaScan v4 プラットフォームを使用して,欧州系10,708人 (平均年齢48.6歳,女性53.3%) の血漿中に含まれる4,775種類のタンパク質を対象とするゲノム-プロテオームワイド関連研究 (genome-proteome–wide association study)を行い,3,892種類のタンパク質の中の少なくとも1つの存在量や機能と強固な関連を帯びている2,584ヶ所のゲノム領域を同定した.
  • 同定されたタンパク質-定量的形質遺伝子座 (pQTL)を利用して,タンパク質をコードする遺伝子座 (cis-pQTL)において,何千もの表現型にわたって共通に共局在している遺伝子発現と選択的スプライシングをベースとして,412種類のタンパク質と506種類の表現形質の間で共通な遺伝的構造を同定し,ヒトの健康に関するプロテオミクス-ゲノミック (proteo-genomic)マップを構築した.
  • これまでにGWASを介して,疾患に関連する何千ものDNA配列上の変異が同定されたが,その中で疾患責任変異を特定することは容易ではない.今回構築されたproteo-genomicマップが今後,疾患責任変異の同定ひいては治療標的の同定を加速することが期待できる.
  • 例えば,著者らは,アルツハイマー病との関連が指摘されてきたKAT8と呼ばれる領域において,KAT8領域に存在するPRSS8というタンパク質プロスタシンをコードする遺伝子を,アルツハイマー病の新規病因遺伝子候補として同定し,同様に,子宮内膜癌の新規リスク遺伝子 (RSPO3)も同定している.