2020-01-24 各社のワクチンはいずれもオミクロン株に対して十分なT細胞反応を誘導する
[出典] 
"SARS-CoV-2 vaccination induces immunological T cell memory able to cross- recognize variants from Alpha to Omicron" Take A, Coelho CH, Zhang Z, Dan JM [..] Crotty S, Grifoni A, Sette A. Cell 2022-01-19. https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.01.015

 La Jolla Institute for ImmunologyとUCSDに,Murdoch University, University of GenoaおよびIRCCS Ospedale Policlinico San Martinoが加わった研究グループが,mRNA-1273 (モデルナ),BNT162b2 (ファイザー・ビオンテック), Ad26.COV2.S (ジョンソン・エンド・ジョンソン), および NVX-CoV2373 (ノババックス)の各ワクチンが誘導するT細胞応答が,SARS-CoV-2の一連の変異株  [*] を認識するか否かを検証した.
[*] アルファ (B.1.1.7), ベータ (B.1.351), ガンマ (P.1), B.1.1.519, カッパ (B.1.617.1), デルタ (B.1.617.2), ラムダ (C.37), R.1, ミュー (B.1.621), およびオミクロン (B.1.1.529).

  • 一連の変異株に対して,第1レベルの防御を担うメモリーB細胞および中和抗体は全体的に減少したが,第2レベルの防御を担うT細胞応答はいずれのワクチンでも維持された.
  • ワクチン接種後6ヶ月までの被験者において,メモリーT細胞応答の90% (CD4陽性) と87% (CD8陽性) は,AIMアッセイによると平均して保存され,オミクロン株に対しては84% (CD4陽性) と85% (CD8陽性) 保存された.
  • オミクロン株のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD)を認識するメモリーB細胞は,他の変異株に比べて,大幅に (42%)減少した.
  • 一方で,T細胞エピトープ・レパートリーを分析したところでは,CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞が認識するスパイクタンパク質上のエピトープの中央値はそれぞれ11および10であり,オミクロン株での平均保存率は80%を超えた.

 各社のワクチンが誘導するT細胞反応は、多様な変異体に対する第2レベルの防御として重要な役割を果たすと考えられる.


2022-01-23 17:38 オミクロン株感染のピークアウトを,ニューヨーク市とロンドン市に見る.スクリーンショット 2022-01-23 16.01.02
 
2都市がWeb [*]で公開しているグラフの一部を右図に引用した.東京都の人口へと換算すると2都市とも東京都に比べて感染がおさまったというレベルではないが,日々の感染例と入院例は明確にピークアウトし,死亡者例もピークを過ぎつつあるように見える [なお,2都市のグラフは横軸の都合上,ニューヨーク市の感染の上昇と下降がいずれもロンドン市よりも急峻になっているように見える].
 南アフリカでは国レベルでピークアウトしていることから,南アフリカの平均年齢が29.7歳と日本の47.4歳よりも圧倒的に若いことが影響しているとしても,2都市のピークアウトと合わせると,日本のオミクロン株感染もいずれ急速に収束していくことを期待してしまう.日本国内でも沖縄県は,20日頃からピークを超えつつあるように見える [crisp_bio "....思うこと(9)"参照].
[*] 

ニューヨークhttps://www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-data-totals.page
ロンドン https://data.london.gov.uk/dataset/coronavirus--covid-19--cases

2022-01-23 13:36 米国CDCが,実社会での大規模なデータ解析に基づいて,mRNAワクチンのブースター接種を推奨

[出典] CDC "Effectiveness of a Third Dose of mRNA Vaccines Against COVID-19–Associated Emergency Department and Urgent Care Encounters and Hospitalizations Among Adults During Periods of Delta and Omicron Variant Predominance" Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR) Early Release 2022-01-21. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7104e3.htm?s_cid=mm7104e3_x

 これまでに,COVID-19 mRNAワクチンのSARS-CoV-2感染に対する効果は,ワクチン接種が誘導する免疫反応の衰えや,変異によりSARS-CoV-2が免疫を回避する能力を獲得するために,低下する可能性があることが明らかになってきた.米国CDCは今回,2021年8月26日から2022年1月5日の間にCOVID-19の症状を有する成人の受診222,772件と入院87,904件を対象として全米10州の合同分析を行った結果を公表した. 

  • 対象期間中のデルタ株優勢期においてもオミクロン株優勢期においても,2 回目の mRNA COVID-19 ワクチンの接種が医療機関受診の180 日以上前の患者のワクチン有効性が,より最近 (180日以内)に接種した患者と比べて有意に低かった.
  • ワクチン有効性は 3 回目の接種後に増加し,デルタ優勢期とオミクロン優勢期の両方で,COVID-19に関連する受診を予防する高い有効性 (それぞれ 94% と 82%)と COVID-19に関連する入院を予防する高い有効性 (それぞれ 94% と 90%)を示した.
  • これまでの知見と今回の分析結果から,ワクチン未接種の人は全て,できるだけ早くワクチン接種を開始すべきであり,COVID-19の1次接種シリーズでmRNAワクチンを接種したすべての成人は,適格であれば第3回接種を受けるべきである.
 なお,CDC報告は,今回得られた知見について留意しておくべき限界7種類も,明らかにしている.例えば,第3回接種に関するワクチン有効性は接種後比較的短期間 (中央値 41-44日)での判定結果であることや,全米50州に中の10州のデータに基づく解析結果であること,などである. 

2022-01-19 ファイザー・ビオンテック,オミクロン株に対する第3回ワクチン接種の効果に関する論文をScience 誌から発表

[出典] "Neutralization of SARS-CoV-2 Omicron by BNT162b2 mRNA vaccine–elicited human sera" Muik A [..] Şahin U. Science. 2022-01-18. https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn7591 (https://doi.org/10.1126/science.abn7591 2022-01-19時点ではまだ有効になっていない)

 BioNTechとPfizerの研究グループは今回,SARS-CoV-2ウイルス修飾ウリジンRNAワクチンであるBNT162b2 (Tozinameran/トジナメラン; Comirnaty/コミナティ)を2回または3回接種した51名の血清の,武漢株,ベータ株,デルタ株,オミクロン株のシュードウイルス (比較的安全な水泡口炎ウイルスにそれぞれのスパイク質を発現させたウイルス)と,生のSARS-CoV-2に対する中和活性をそれぞれ測定し,その結果を発表した.

  • 2回接種後の血清は.オミクロン株シュードウイルスに対する幾何平均抗体価 (GMT)が武漢シュードウイルスの22分の1以下に低下していた.一方で,ベータ株とデルタ株のシュードウイルスに対するGMTはそれぞれ武漢株シュードウイルスに対するGMTの6.7分の1と2.2分の1であった.
  • 3回目のワクチン接種後1カ月の時点で,オミクロンに対するGMTが2回接種後の~23倍に上昇し,2回接種後の武漢株に対するGMTに近い値となった.
  • 生のSARS-CoV-2での評価では,2回接種後の血清のオミクロン株に対するGMTは,武漢株の~61分の1となったが,3回接種1ヶ月後の血清のオミクロン株に対するGMTは,2回接種後の血清の武漢株の3.4分の1にまで回復した.

 オミクロン株を効果的に中和するために3回目のワクチン接種が必要であることが,シュードウイルスと生ウイルスの2種類で確認されたが,血清に含まれる中和抗体は,COVID-19に対する適応免疫の第一層である.防御の第2層を担うT細胞応答が,特にCOVID-19の重症化の予防に,重要な役割を果たす.BNT162b2ワクチン接種者のCD8+T細胞応答は多様なエピトープを認識可能なポリエピトープであり,研究グループの解析ではオミクロン株のスパイク糖タンパク質エピトープのCD8+T細胞認識はほぼ維持されていることが示唆された.


[注] 実社会では以前から,ワクチンの2回接種後あるいは3回接種後のオミクロン株の感染が起こること,および重症化が従来のVOCに比べて抑制されていることが,報道されてきており,今回の研究室での実験の結果は,実社会での状況と整合することになった.

 なお,3回接種ワクチンの長期的な有効性について,英国では,2~4週間で65~75%,5~9週間で55~70%に低下し,3回目の投与後10週間以上では55%以下と報告され,イスラエルのように第4回接種を開始する国も現れた.

2020-01-15 オミクロン株が感染株のほとんどを占めるに至った南アフリカ,英国,米国と日本における人口100万人あたりの日別感染者数と日別死亡者数の推移を2021年11月1日から2022年1月13日までの期間について比較してみたスクリーンショット 2022-01-15 14.29.56 [出典 Our World in DataのCoronavirus Pandemic (COVID-19)のセクション]

  • 挿入図左の日別の新規感染者数のグラフから,南アフリカと英国はピークが過ぎ,米国も近くピークを過ぎそうにも見える.報道*によると米国では最初にオミクロン株の感染が拡大した大都市 (クリーブランド, ニューワーク, ワシントン)でピークを超えた [*Smith M, Robertson & Imbler S. New York Times 2022-01-13].
  • オミクロン株は入院や死亡といった重症化が少ないとされているが,挿入図右のグラフからは英国と南アの人口100万人あたりの日別死亡者数が,日別感染者数がピークを過ぎた後,増え続けていることが見て取れる.スクリーンショット 2022-01-15 14.29.41
  • 2番目の挿入図は欧州各国,カナダ,オーストラリア、およびインドを,南アおよび米英と比較したグラフである.南アと英国以外には,ピークが過ぎ去った国は未だないようである.なお,感染数推移グラフの右側は,左側のグラフの各国における感染株に占める変異株の比率をまとめたグラフである.

2022-01-06 ヒトACE2 (hACE2)とオミクロン株およびデルタ株の受容体結合ドメイン (RBD)との複合体構造がそれぞれ解かれた [crisp_bio 2022-01-06参照]

2022-01-0204 Wikipedia上のデータが2022年1月4日付に更新された (カッコ内は2022年1月1日に引用していた数字):133の国と地域で,PANGOLIN ,GISAID,独自集計,および,オミクロン株疑い例がそれぞれ,91,330(56,581), 95,138 (95,138), 373,106(373,463), および 628,739 (628,739)となり, PANGOLINトロく登録数だけが大幅に増えてGISAID登録と同レベルになった.

2022-01-02 英国保健安全保障庁が528,176例のオミクロン感染と573,012例のデルタ感染のデータを分析した結果,デルタ株に比べてオミクロン株に対するワクチンの感染予防効果は低く,また,2回接種も20週を過ぎるとワクチンの効果は10%以下にまで低下するが,入院リスクを予防には効果があると,これまでの種々の報告と整合する結果を公表した [crisp_bio [20220102更新] 新型コロナウイルス:英国の感染状況に学ぶ,参照]: 

2022-01-01 23:16

  • "オミクロン株のヒト細胞への感染は,これまでのSARS-CoV-2株と異なり,TMPRSS2プロテアーゼに依存しない"とする査読前報告が公表された. [crisp_bio 2022-01-01参照]
  •  Wikipedia上のデータが2021年12月31日時点に更新された (カッコ内は2021年12月30日に引用していた数字):113の国と地域で,PANGOLINGISAID,独自集計,および,オミクロン株疑い例がそれぞれ,56,581(13,161),95,138 (58,207),373,463 (173,702),および628,739 (382,176)

2021-12-31 21:25 「オミクロン株は,中和抗体 (液性免疫)を免れるが,T細胞応答 (細胞性免疫)まで免れることはできない」とする2報が,いずれも査読前論文ではあるが,medRxiv から公開された [crisp_bio 2021-12-31参照]

2021-12-30 19:54 Wikipedia上では108の国と地域で,PANGOLIN (22日時点)GISAID (28日時点),独自集計(28日時点),および,オミクロン株疑い例がそれぞれ,13,16158,207および 173,702,および382,176とされ,各国のゲノム解析が進んでいるのかGISAID登録数の伸びが顕著であった.

2021-12-30 21:00 BBC NEWS | JAPAN 2021-12-29によると,フランスで欧州最多の新規感染者が確認された12月28日,イタリア, ポルトガル, ギリシャ, キプロス, イギリスでもそれぞれ,国内最多となる新規感染者を記録した.クリスマス期間中データ処理が遅れていたために,今回,過去最多の感染者数になった可能性があるが,感染力が強いとされるオミクロン株の影響と見られている.
 また,28日のBBC BEWS | Japanによると米国では,オミクロン株の感染拡大に伴ういわゆる濃厚接触者として多数の従業員が自主隔離を求められため,ユナイテッド航空などを中心にフライトのキャンセルが相次ぎ,また,原因は明らかにされていないが中国の航空会社のキャンセルも相次ぎ,その他国々の航空会社も含めて,24日からのクリスマスの週末に全世界で,総便数に比べれば少ないが,8,000便以上がキャンセルされた.
 重症化が比較的少ないとされていても,短期間に感染者が急増すること自体が,現代の社会システムに打撃を与える. 

2021-12-28 12:02 オミクロン株の感染性や病原性などの特性に関する実験結果の公開続く

2021-12-26 19:43 英国では,日別陽性者数が24日に12万人を超え,オミクロン株感染確認数も2万3700人を超えて累計11万4000人に達した.英国内のイングランドでは,23日までにオミクロン株感染後の死亡が29人に達した [NHK NEWS WEB 2021-12-25 11:25].ところで「8割おじさん」で知られた西浦京大教授によると,オミクロン株の実効再生産数はデルタ株の3倍から4.2倍のようだ. [buzzfeed.com 2021-12-24公開]
2021-12-25 20:48 欧米でのオミクロン株の感染拡大の報道 [英国 JIJI.COM. 2021-12-23 07:14米国 FNNプライムオンライン 2021-12-24 18:30]が続いているが,Wikipedia上では104の国と地域で,PANGOLIN GISAID,独自集計,および,オミクロン株疑い例がそれぞれ,8,340,16,559および 173,482および257,848とされ,前回よりも独自集計と疑い例が大きく増加した[20:40確認].国と地域からの報告数からの独自集計の件数が,ゲノム配列登録データベースのPANGOLINとGISAID上の件数を上回っているのは,オミクロン株の全数ゲノム配列決定が遅れ,そしてまたは,データベースへの登録が遅れているためと思われる.

2021-12-24 19:00 感染状況はWikipedia上では103の国と地域で,PANGOLIN GISAID,独自集計,および,オミクロン株疑い例がそれぞれ,8,340,16,559および 80,174および166,840とされている [注: 先日引用と同じ12月22日時点の数字で若干変化している]
 英国,米国,フランスなどオミクロン株の感染拡大が止まらないとする報道が相次いでいるが,南アフリカでは国立伝染病研究所の専門家が,オミクロン株が最初に検出されたハウテン州で,1日当たりの感染者の減少と検査での陽性率低下を確認し,感染が〜1ヶ月でピークを超えたという認識を示した.ただし,南アフリカでは,横這いに留まっている州や,引き続き増加している州がある [ロイター 2021-12-23 02:16].

2021-12-23 10:17 オミクロン株感染者の入院リスクはデルタ株感染者よりも40%低い 

[出典] NEWS "Some reduction in hospitalisation for Omicron v Delta in England: early analysis" van Elsland SL, Head E. Imperial Colledge London. 2021-12-22. ; NEWS "Risk of hospital stay 40% lower with Omicron than Delta, UK data suggests" Sample I, Stewart H. The Guardian 2021-12-22 22:27 GMT 

 英国イングランドのデータ解析によると,オミクロン株感染者 (以下,オミクロン)の病院受診はデルタ株感染者 (以下,デルタ)よりも20〜25%低く,1泊以上の入院リスクは40〜45%低い.

  • COVID-19感染歴が無く,ワクチン未接種のごく一部の人の場合,オミクロンの入院リスクは,デルタよりも約11%低かった.
  • オミクロン株が登場する前に新型コロナウイルスに感染・回復していた場合のオミクロンの入院リスクは,初感染の約50%であった.
  • オミクロンの入院日数も,デルタの0.32日に比べて平均0.22日と短かった.ただし,オミクロンの流行が少ない高齢者層についてはより多くのデータが必要であり,集中治療室への入院や死亡のリスクを評価するのは時期尚早だ.
  • ここまでの報告は,英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのアウトブレイク・モデリングチームが,12月1日から14日の間にイングランドでPCR法で確認されたCOVID-19患者全てのワクチン接種と入院の記録を分析した結果に基づいており,対象には,オミクロンの症例56,000件とデルタの症例269,000件が含まれていた.

 英国スコットランドでのデータ解析でも,予備的解析ではあるが,オミクロンの入院リスクはデルタよりも70%程度低いとしている.これは,11月23日から12月19日までの病院データを解析したエジンバラ大学のEAVE II (Early Pandemic Evaluation and Enhanced Surveillance of COVID-19) からの報告であるが,例数が少なく,また,オミクロン株感染者のほとんどが20~30歳と年齢に大きな偏りがあることから,今後,入院リスクの数値は変わる可能性がある.

 このように,イングランドとスコットランドでオミクロンが軽症であることを示唆する結果が得られたが,英国の1日の感染者数が10万人を超える状況では,今後,入院が必要になる感染者数が増え,ひいては重症者も増え (すでに死者が出ている),医療逼迫の状況に至る可能性がある.事実ロンドンでは,12月20日にCOVID-19患者301人が入院したがこの数字は前週比78%増,1日としては2月7日以来最高となった.

2021-12-22 20:15 感染状況はWikipedia上では102の国と地域で,PANGOLIN GISAID,独自集計,および,オミクロン株疑い例がそれぞれ,8,340,16,559および 79,516および166,840となった [12月21日時点].

 イスラエルではベネット首相が60歳以上に4回目のワクチン接種を始める方針を示し,オミクロン 株の登場が国際的なワクチン接種格差をより浮き彫りにすることになった.イスラエルでは,8月からブースター接種を始め人口の44%にあたる417万人が完了したが,11月下旬から感染者数が再拡大し12月19日に新規感染者数が1,000人を超えており,これまでに341人がオミクロン株に感染したと報道 [*]されている [* NHK NEWS WEB 2021-12-22 09:11]

2021-12-22 12:16 ファイザー・ビオンテックは12月8日に,「Comirnatyの3回接種でオミクロン変異株を中和可能,2回接種でも重症化防止の可能性あり」と発表していたが,12月20日,モデルナがmRNA-1273のブースター接種の有効性示す実験データを公表した.

  • これまで接種されてきたmRNA-1273を認可されている量の50μgまたは100μg,多価ワクチン候補のmRNA-1273.211を50μgまたは100μg,あるいは,多価ワクチン候補mRNA-1273.213を100μgをそれぞれ20人の2回接種完了者に接種した.
  • ブースター接種前と29日後に,シュードウイルス中和アッセイ (PsVNT)を行った:いずれの被験者もブースター接種前の中和抗体のレベルは2回接種後から低下していた;mRNA-1273 50 µg接種により,幾何平均抗体価 (GMT)が850 (ブースター接種前の~37倍)へ上昇;mRNA-1273 100 µg接種によりGMT 2,228 (~83倍)へと上昇;多価ワクチン候補もオミクロン株特異的な中和抗体を同レベル誘導.
  • モデルナは,100 µgブースター接種の第2/3相試験からの安全性データ (N=305)も公表した.50 µgのブースター接種よりも副反応の頻度が僅かに高かった (slightly more freqent)が,ブースター接種後7日の間の副反応は,2回接種までと同レベルであった.
  • モデルナは,当面はmRNA-1273のブースター接種に注力しつつ,オミクロン株特異的ワクチン (mRNA-1273.529) の開発を継続する.後者については,2022年早期に臨床試験に入ることを目指している.

2021-12-21 21:10 Wikipediaの各国・地域の報告を総合した数字は日々増減があったが,今回は,PANGOLIN (Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak Lineage)とGISAIDが出している数字 (12月20日時点),個別報告の集計の結果の3種類の数字,それぞれ,8,340,13,945,および 79,346が併記されていたが,いずれも,世界的に感染が広がりつつあることを示した.また,オミクロン株疑い例として,英国 124,954,南ア 19,070,カナダ 3,636などの数字が挙げられていた.
 なお,英国に続いて米国でも急速にオミクロン株の感染が広がり,
CDCによると新規感染者に占めるオミクロン株感染者の割合が11日までの1週間では12.6%であったところ,18日までの1週間で73.2%に達し,また,新型コロナウイルス感染者の総数も増加した.また,テキサス州で,オミクロン株感染者 (ワクチン未接種で重症化リスクあり)の米国で初の死者が出た [合田 緑. 朝日新DIGIDAL. 2021-12-21 10:53]
2021-12-20 17:34 Wikipedia の各国・地域の報告を総合した表では,オミクロン株感染の広がりは国と地域の数が96に,感染例が64,032例へと更新された.オランダが19日にロックダウンに踏み切るなど,英国と欧州各国は規制を強めるようだ [ロイター. 2021-12-20 07:44 JST]
2021-12-19 17:39 
Wikipedia の各国・地域の報告を総合した表において,昨日引用した数字と比べると,国と地域の数が96から92へと,感染例が34,821例から46,211例へと更新された.
 UKでは,
12月17日18:00 GMT(英国時間)に,オミクロンの感染者が24,968人と24時間の間に~10,000人急増し,入院が65例から85例に増え,死者は12月14日に1人であったところ16日には
計7人
に達した,と発表された [Reuters 2021-12-19 12:03 AM JST (日本時間)
].病毒性が低いとしても感染が拡大すれば死者も増えるという専門家の警告が現実になった.

2021-12-18 19:74 Wikipedia の各国・地域の報告を総合した表において,昨日引用した数字と比べると,国と地域の数が97から96へと,感染例が37,985例から34,821例へと'修正'された (19:19時点)

2021-12-18 10:07 南アフリカのオミクロン感染に関するさまざまなデータは,必ずしも,各国にそのまま当てはまらない

[出典] "【解説】 オミクロン株、南アフリカの状況から分かったこと"レイチェル・シュレア、ピーター・ムワイ、BBCリアリティー・チェック(ファクトチェック),BBC NEW | Japan 2021-12-17.

  • オミクロン株は,入院と重症化が比較的少なく入院期間も短いというとデータが出ているが,入院患者の大半が重症化リスクの低い40歳以下である.これには,年齢構成と60歳以上の国民のワクチン接種率が他の年代より高いことが影響した結果かもしれない.南アフリカの国民の年齢中央値は27.6歳と,イギリスの40.4歳,日本の48.4歳に比べてはるかに若い。
  • 子供の入院が多いというデータが出たが,このデータは貧困地域から出ていたため,栄養・衛生状態が影響した可能性があり,また,現在では子供の入院患者の比率が下がってきている.
  • ワクチンの効果については,南アフリカでは,ファイザー・ビオンテックのmRNAワクチンの他に,ジョンソン・エンド・ジョンソンのウイルスベクター型のワクチンも多くの国民が接種していることから,ワクチンの種類と感染者の背景・症状との関係を詳しく見ていく必要がある.

2021-12-17 18:05 Wikipediaの集計によれば,オミクロン株の感染は93の国と地域に拡がり,感染例も37,985人と16日の1.96倍になった [18:00時点]
2021-12-16 18:50 各国・地域の報告を総合した感染状況をまとめているWikipeidaによると [18:15時点],オミクロン株の感染は90の国と地域へと拡がり,感染例も15日20:16時点の2倍を大きく超える19,321人に達した.海外の状況について,日本経済新聞のニュヨークとロンドンからの報道を圧縮して以下に引用した:

1.  オミクロン型の増殖速度「70倍超」: 肺では増えにくく - 香港大研究 (西邨紘子)
日経Webサイト 2021年12月16日 5:07 (2021年12月16日 8:42更新)
 香港大が学術誌査読前の研究成果であるが15日に大学のWebサイトで,「感染から24時間後の時点で,オミクロン型の複製速度が,気管支では他の型の70倍以上であったが,肺ではデルタ型の10分の1以下であった」と公表した. 
 米ハーバード大,MITおよびMGHの共同研究グループは14日,ファイザー・ビオンテック,モデルナおよびJ&Jの3種類のワクチンについて,オミクロン株に対して十分な中和抗体を誘導するにはブースター接種が必須とする研究結果を公表した.
2.英の新規感染者、過去最多7万8000人に: オミクロン急増 (佐竹 実)
日経Webサイト2021年12月16日 4:27 (2021年12月16日 9:17更新)
 英政府は15日,過去最多だった2021年1月8日の約6万8千人を上回る新規感染者が発生したことを公表したが,ロンドンでは感染者の6割がオミクロン型とみており,18歳以上へのワクチンのブースター接種を急いでいる.1月のピーク時は4万人近くの入院患者と1日あたりの死者数1,820人を記録していたが,直近では,それぞれ,が7千人台と100人前後に留まっており,今のところは重症化が抑えられている
 フランス政府によると15日の新規感染者は約6万5700件と20年11月以来の高水準であり,欧州疾病予防管理センター (ECDC)によると,15日時点で27カ国で2629件のオミクロン型の感染を確認されている.

[注] 項目1にあったように肺での増殖速度がデルタ型の10分の1であることが,項目2にあったようにデルタ型に比べて重症化が抑えられている原因かもしれない.しかし,感染が指数関数的に増加すれば,オミクロン株感染が重症化する絶対数も医療逼迫を招くレベルに達する恐れがある.

2021-12-15 20:16 Wikipedia (19:55時点)によれば各国・地域の報告を総合すると,国と地域の数が77へと増え,感染例も8,289例と前回からやや増加した.2021-12-15 8.35.28
2021-12-15 08:40 英国政府のオミクロン株感染状況報告2021-12-14版に [*]によれば,英国 (UK)のオミクロン感染者数は右表に引用したように5,346人となっている.[*]https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-omicron-daily-overview

2021-12-14 08:05 英国の感染状況に学ぶ
[注] オミクロン株感染拡大を受けて,11月12日に投稿した「英国の感染状況に学ぶ」の続編を今回投稿することになった.
[出典] "Covid: First UK death recorded with Omicron variant". Morton B & Faulkner D. BBC 2021-12-14 06:58 JST.; "At least one person in UK has died with Omicron, says Boris Johnson" Allegrettti A & MasonR. The Guardian 2021-12-13 13:30 GMT

  • ボリス・ジョンソン首相は13日(月),「オミクロン株感染による死亡者が少なくとも1名」出たと発表した.
  • 英国保健安全保障局 (UKHSA)は,「イングランドではオミクロン株感染者10名が入院が必要になった」と発表した.年齢は18歳から85歳まで,大半がワクチン2回接種済みであった.
  • 英国では月曜日に54,661件の新型コロナウイルス全体の新規感染者を記録し,陽性反応が出てから28日以内に38名の死亡者が出ている.その中で,オミクロン株確定数は,月曜日に新規1,576例 [*]が加わり4,713例となった [*イングランド 1,534人,スコットランドとウエールスがそれぞれ15人,北アイルランドはゼロ].
  • オミクロン株はデルタ株よりも感染力が強く,英国では2~3日ごとに感染者が倍増している.ロンドンでは,オミクロン株感染者がウイルス感染者の44%を超え,今後48時間以内に主流になると見られている.
  • Javid保健相は,入院や死亡が感染よりも約2週間遅れていることから,「今後、数日から数週間の間にこれらの数字が劇的に増加することが予想される」と述べた.
  • UKHSAの調査によると,ワクチンの3回接種で,有症 [**]の感染に対して約70%から75%の予防効果がある [** 無症状の感染を除く].
  • 首相は第3回接種を訴え,接種の支援に~760人規模の軍を動員した. 

2021-12-13 20:00 Wikipedia (19:55時点)によれば各国・地域の報告を総合すると,国と地域の数は前回 (12日付)と同じく70であったが,感染例は8,174例と~1.7倍になった.なお,ウイルスの配列の登録を受け付けて,集積・公開しているGISAIDデータベース上での件数は11日付で2,123件であり,英国が820件と~10%近くを占めている.
 以下に,Our World in Data のWebサイトで公開されている変異株の相対的な広がりを示す2種類のグラフを引用した.いずれもゲノム解析されたSARS-CoV-2株の中での各変異株の比率を示しており,実際に感染が広がっているSARS-CoV-2株における各変異株の比率とは必ずしも一致していない.左下が,オミクロン株の比率高い順に11ヵ国における12月10日時点の比率が,右下に,2020年5月11日から2021年12月10日までの英国における比率 (過去2週間の平均)の推移を示している.

スクリーンショット 2021-12-13 17.57.00   スクリーンショット 2021-12-13 18.32.34

 英国にとって12月10日まではまだ嵐の前の静けさだったのかもしれない.12日(土)から13日(日)にかかけて急増し,ロンドンではオミクロン株感染者が新型コロナウイルスの感染者の~40%を占め[REUTERS 2021-12-13 18:25 JST],ボリス・ジョンソン首相は「疑う余地はない,オミクロン株の津波がおそってくる」とし,5段階の警戒レベルの中で,レベル3からレベル4へと引き上げた [Gillett F, BBC NEWS 2021-12-13].

2021-12-13 11:11
 

1. オミクロン株は,2回接種者にも3回接種者にも感染し,デルタ株よりも集団感染し易いらしい

[出典] "How Omicron appears to be infecting Britain – despite the vaccine" Pidd H. The Guardian.  2021-12-12 16:19 GMT. https://www.theguardian.com/world/2021/dec/12/how-omicron-appears-to-be-infecting-britain-despite-the-vaccine

  • オスロ:レストランでのパーティーで,二回接種で参加前検査で陰性であった111人の参加者のうち80人が主としてオミクロン株の新型コロナウイルスに感染.
  • ドイツ:観光グループツアーで南アフリカ行った7人が,ブースター接種を受けたにもかかわらずオミクロン株に感染.
  • 英国:病院でオミクロン株感染が発生.
  • 英国:症状確認アプリ「Zoe Covid」のアンケートでは「ワクチン接種が参加条件のイベントの参加者のほぼ全員が新型コロナウイルスに感染し,オミクロン株か否かの判定を待っている」という声.英国では,オミクロン感染を迅速に判定できるのは検査機関の3分の1程度であり,また,検査を受けているのは一部のサンプルだけであることが課題.
     Zoe Covidを運営している英国キングス・カレッジ・ロンドンの遺伝疫学Tim Spector教授は「デルタは,イベントに参加した全員に影響するわけではないようで,ワクチン接種した人の6人に1人がその時に病気になるだけだったが,オミクロン株の場合ば,それが過半数になるかもしれない」とコメント.また,「オミクロン株は感染してから短時間で他に感染可能になるようなので,イベントに参加する場合は前日の検査では不十分で,家を出る数時間前に迅速検査を行うよう」とアドバイス. 

2.オミクロン株の迅速判定は?

 東京都はオミクロン株の可能性を検出可能な変異株PCR検査を12月3日から開始した.アルファ株とオミクロン株に共通の変異N501Yに加えてオミクロン株の変異の一つであるE484Aの変異も検出して判定し.陽性判定が出た場合は,ゲノム解析を経て確定する [東京都新型コロナウイルス感染症対策本部報道発表資料 2021-12-03 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/12/03/23.html].こうした技術は迅速に全国の検査機関で共有されるようになっているのだろうか.
 オミクロン株の水際対策の精度と速度を上げるために,成田,羽田,関西の3空港に,全自動PCR検査装置を導入してはどうだろう.某国内企業の全自動PCR検査装置は,7月の時点で,N501Y,E484K, E484QおよびL452Rの変異を同時に検出可能とするマルチプレックスPCR試薬の使用が可能になっており,ひいてはデルタ株検出が実現されていた[*].そのままでも,N501変異検出でアルファ株またはオミクロン株疑いを検出できる.3セットの導入初期費用に試薬などのランニングコストを加えても某事務経費の誤差の範囲内ですむように思う.

[*]プレシジョン・システム・サイエンス株式会社 http://www.pss.co.jp/ir/press/202107063.pdf

2021-12-12 19:09 Wikipedia (19:07時点)によれば,オミクロン感染者数は各国・地域の報告を総合すると70の国と地域で4,738例となった.


2021-12-11 19:57 Wikipedia (19:35時点)によれば,オミクロン感染者数は各国・地域の報告を総合すると66の国と地域で3,315例となった.12月9日の時点で,WHOのアフリカにおける予防接種のコーディネータは,世界のオミクロン感染者の46%がアフリカに分布としていた.日本では,11日に13人と1人増となった.スリランカ滞在歴があり4日入国時の空港検疫では新型コロナウイルス陰性判定で,岐阜県の自宅まで車で移動していたが,その後濃厚接触者と確認され詳しい検査を受けた結果オミクロン感染と判定された.ワクチンは2回接種していた[NHK NEWS WEB 2021-12-11 19-06].機内での濃厚接触者追跡が、今のところ機能しているようだ [参考 crisp_bio [20211006更新]  旅客機内クラスターの発生事例 - 搭乗前陰性判定の乗客からの事例]

2021-12-10 21:20 
Wikipedia (21:11時点)によれば,各国・地域の報告を総合すると61の国と地域で2,303例が報告されている [注 昨日より11人減少しているが元にした報告数に変動があったか,集計上の誤りと思われる].日本では新たに8人判明し,オミクロン感染者は計12人となった.市中感染ではなくいずれも空港検疫とそれに続くゲノム解析で判定された.そのうち2人は空港検疫時には陰性で,先に陽性判定されていた1名の濃厚接触者として隔離されている間に陽性に転換した.なお,新たな8人のうち7人はワクチン接種2回済ませていたとのことである.また,5人は症状はなく3人に発熱などの症状が見られるとのことである [NHK NEWS WEB 2021-12-10 18:57; NHKニュースウオッチ9視聴].

2021-12-09 21:15
 Wikipedia (21:05時点)によれば,各国・地域の報告を総合すると60の国と地域で2,324例が報告されている.

1. ファイザー・ビオンテック「Comirnatyの3回接種でオミクロン変異株を中和可能,2回接種でも重症化防止の可能性あり」と発表 ["Pfizer and Biotech Provide Update on Omicron Variant". businesswire. 2021-12-08 06:54 AM EST ]

  • 実験室での予備的研究 [*]にて,オミクロン変異株に対して2回投与では中和力が著しく低下し,3回投与が中和力を発揮した [*試験方法:Comirnatyを2回接種または3回接種した人由来の血液から構築した血清パネルを対象として,シュードウイルス中和試験によって判定].
  • 3回投与により,オミクロン変異体に対する中和抗体が,2回投与に比べて25倍に増加し,この抗体価は、高い防御レベルを示した野生型ウイルスに対する2回の投与後に観察された抗体価と同等であった.
  • CD8+ T細胞が認識するスパイクタンパク質のエピトープ (抗体が認識する部位)の80%は,オミクロン変異株に見られる変異の影響を受けないことから,2回の投与でも重症化に対する防御効果が得られる可能性がある.
  • オミクロン変異株に特化したワクチンの開発を引き続き進めており,3回接種でも不十分となった場合は,3月までに利用可能とする見込みでいる.

2. 英国ではオミクロン変異株感染拡大が2~3日で2倍のペースである
 英国政府の緊急時科学諮問委員会(Scientific Advisory Group for Emergencies, Sage)のメンバーであり, インペリアル・カレッジ・ロンドンの疾病発生モデリンググループの責任者であるファーガソン教授が,8日(水曜日)にBBCラジオ4にて,個人的見解として「
2~3日で感染者が2倍になってきている.クリスマス前に英国ではオミクロンが主流となる可能性が高い」「現時点では,ロンドンとスコットランドで感染者数が特に多い.ロンドンは外国人観光客が多く,スコットランドの感染拡大は,グラスゴーで開催された気候変動に関するC0P26サミットとの関連が疑われる」と述べた.["Omicron Covid cases ‘doubling every two to three days’ in UK, says scientist" Bland A, The Guardian.  2021-12-08 09:01 GMT. ]

2021-12-08 22:07 
オミクロン株は54の国と地域に広がり,オミクロン確定が1,632例,オミクロン疑いが10か国で57,002例となった [Wikipedia].

2021-12-06 22:07 
オミクロン株は53の国と地域に広がり,オミクロン確定が1,291例,オミクロン疑いが10か国で57,029例となった [Wikipedia].

 各種報道によると,オミクロン 株は感染性が強いが,今のところは重症化はみられない[*]という方向のようだ [* 例えば,米国のファウチ博士のコメント NHK NEWS WEB 2021-12-06 21:26].また,感染してから第三者に感染可能になる日数がデルタ株よりもさらに短いと推定されたことから,英国は訪英にあたり出発前48時間以内の陰性証明 (PCRか迅速抗原検査)を求めることにしたようだ [BBC NEWS | JAPAN 2021-12-05].米国は,外務省のWebサイト,によると,12月6日から,米国への出発前1日以内に取得した陰性証明を求めることにした.ネット検索すると,日本国内にも,検査当日に英文証明書発行可 (3万~4万円)とうたっているクリニックが複数あるようなのだが.

2021-12-06 19:57 
オミクロン株は46の国と地域に広がり,オミクロン確定が939例,オミクロン疑いが55,992例となった [Wikipedia].

 オスロでは,11月26日に行われた企業のクリスマスパーティーの参加者120人のうち、少なくとも13人がオミクロン株に感染し,60人を超えると予想されている.この企業は南アフリカに事業を展開し,参加者のうち少なくとも1人が最近南アフリカから帰国したともされている [JIJI.COM 2021-12-04 17:40].また,シドニーでは,11月27日に屋内クライミングジムを訪れたRegents Park Christian Schoolの生徒13人が新型コロナウイルスに感染し,そのうち5人がオミクロン株感染と判定された [ABC(Australian Broadcasting Corporation)2021-12-05]

2021-12-05 19:57 スクリーンショット 2021-12-05 19.55.32
"SARS-CoV-2_Omicron_variant"から,オミクロン株が,アルファ株,デルタ株,およびガンマ株とは独立に発生したことを示唆する樹状図を,右図に引用した.数多くの変異を帯びたオミクロン株がいつどこでどのように発生したかについていくつかの仮説が出されているが,現時点では確定されていない ["Where did ‘weird’ Omicron come from?" Kupferschmidt K. Science 2021-12-01 19:00. https://doi.org/10.1126/science.acx9754].

 なお,WIkipediaでは,感染が判明した国と地域および感染例は42カ国,789例へと改訂されていた.

2021-12-04 21:36 Wikipediaに"
SARS-CoV-2_Omicron_variant"の項が作られていた.2021年11月25日23:42が初稿ですでに1,000回程度更新されているようだ.変異リストもテキストで入手可能.感染が判明した国と地域は,この投稿時点で,40カ国739例とされていた.

2021-12-04 21:36 Wikipediaに"
SARS-CoV-2_Omicron_variant"の項が作られていた.2021年11月25日23:42が初稿ですでに1,000回程度更新されているようだ.変異リストもテキストで入手可能.感染が判明した国と地域は,この投稿時点で,40カ国739例とされている.

2021-12-03 21:09 オミクロンの変異一覧とアノテーション

2021-12-03 21.04.59[出典]"Omicron mutated positions (according to CoVariants list) and annotates some of the mutations with the effects" Anna Bernasconi*, Pietro Pinoli*, Ruba Al Khalaf, Tommaso Alfonsi, Arif Canakoglu, Luca Cilibrasi, and Stefano Ceri. (Department of Electronics, Information, and Bioengineering, Politecnico di Milano, Milan, Italy) https://virological.org/t/report-on-omicron-spike-mutations-on-epitopes-and-immunological-epidemiological-kinetics-effects-from-literature/770 

 ミラノ・ポリテクニックの研究グループが編集した変異の一覧図を右に引用.出典にはアノテーションの根拠となった参考文献も添えられている.

2021-12-03 18:06

1. 南アフリカの状況 [BBC NEWS | Japan. 2021-12-03 https://www.bbc.com/japanese/59514706]

  • 南アフリカの保健当局は2日、新型コロナウイルスの感染で新たな変異株「オミクロン」が同国で主流となり、感染が急速に拡大していると発表した.
  • 1日当たりの新規感染者が約1万1500人に上り、前日の8,500人から急増した.
  • 11月半ばまでの感染報告数は1日当たり平均200~300件であった.
  • 11月にゲノム解析した新型コロナウイルスの70%がオミクロンであった.
  • 現時点では,ワクチンが重症化を抑えているように見えるが,重症化について判断できるのは3~4週間後と見ている.

2. UCSD Amaro研のLoezo Casalinoがオミクロン株スパイクタンパク質の受容体結合部位のモデル図をツイートした.


  • RBDにみられる15ヶ所の変異について,ACE2およびクラス1, 2, 3, 4の抗体との結合に影響する可能性を見てみた.
  • 10ヶ所はRBD内の受容体結合モチーフ (receptor-binding motif, RBM)に位置し,ACE2とクラス1と2の抗体との結合に影響する (注: RBMは中和抗体の主要な標的とされている)
  • G339D変異はクラス3の抗体の結合に影響する.
  • S371L-S373P-S375Fの変異は,クラス4の抗体の潜在性エピトープ認識を障害する.

2021-12-02 22:10 オミクロン株が確認された国と地域について,NHK WEB NEWSは2日21:30時点で29と報道していたが,22:00からのテレビ朝日の報道ステーションはその冒頭で33と報道した.数え直すたびに増えていく感じがする.

2021-12-01 20:50 
オミクロン株の感染が判明した国と地域が22にまでに増えてきたが,国内ではペルー滞在歴があり27日に帰国していた1人が国内2人目のオミクロン感染であることが判明した [NHK WEB NEWS  2021-12-01 16:48  2021-12-01 17:23 ].国内1人目のジンバブエ外交官も国内2人目もワクチン2回接種済みのようであり,イスラエルでは3回接種済みの医師がオミクロンに感染していたと報道されている [The Times of Israel 2021-11-30 18:44].

 海外では,ナイジェリアが,(南アの11月9日採取検体に先んじる)10月に南アからの旅行者から採取していた検体がオミクロンに感染していた発表した.その他の国でも南アの公式報告以前に採取されていた検体からオミクロンが検出されている [REUTERS 2021-12-01 19:22].

2021-12-01  09:33

  1. イタリアのANSAチャネル(2021-11-27)によると,ローマのBaby Jesus Paediatric Hospitalのスクリーンショット 2021-12-01 9.03.44研究グループがオミクロン株とデルタ株のスパイクタンパク質の三次元画像の比較図を公開した [右図参照].オミクロン株に見られるアミノ酸 (残基)変異の多さが一目瞭然である.
  2. BBC NEWSの報道 (2021-11-30)によると,オランダでは28日(日)に南アフリカからの到着便の乗客中の61人が新型コロナウイルスに感染し,そのうち14人がオミクロン株感染と判定されていたが,その後,11月の19日と23日にオランダ採取されていた2検体がオミクロンに感染されていたことが判明した.この2例についてはアフリカ南部への渡航歴があったか否かは現時点では不明.なお,南アフリカにおけるオミコロン株の初の判定は,11月9日に採取された検体であった.
  3. 日本経済新聞の報道 (2021-12-01 05:44更新)によると,日本では感染研でのゲノム解析を経てナミビアから来日したモデルナ製ワクチン接種2回完了のナミビア外交官1人がオミクロン株感染と11月30日に確認された.同行していた家族2名は陰性であったが,同じ飛行機に同乗していた家族2名を含む70名全員を濃厚接触者と認定し,自宅または施設での待機と2日ごとの定期的検査などを求めるとした.[参考: crisp_bio 旅客機内クラスターの発生事例 - 搭乗前陰性判定の乗客からの事例]

2021-11-30 10:47

1. スコットランド,オミクロン株の感染6例を発見し,ワクチン接種の拡大と迅速化へ

 スコットランド自治政府は29日,ラナークシャーで4人、グラスゴー近郊で2人,オミクロン株感染を確認したと発表した.一部の人は外国渡航歴がなく,地元で市中感染した様子としている ["オミクロン株の感染者、英スコットランドでも6人 30日からイングランドで規制強化" BBC MEWS JAPAN 2021-11-29].
 これを受けて,スコットランドでは,18歳以上を対象にブースター接種を開始し,2回目の接種後の待ち時間を6ヶ月から3ヶ月に短縮した.また,12歳から15歳に対しては,第1回接種後3ヶ月後の2回目接種を進めることとした ["Scotland expands vaccine rollout after six Omicron cases found" BBC NEWS 2021-11-30].

2. 南アフリカのラマポーザ大統領日本を批判

 大統領は日本や英国などを名指しし,南アに対する渡航制限を「不当だ」と批判.「新たな変異株を防ぐためにも,先進国は渡航制限でなく,途上国のワクチン接種に協力すべきだ」と主張した (南アフリカでワクチン接種を完了した成人の割合は約35%). [讀賣新聞オンライン 2021-11-29 10:25]

3.中国「アフリカと団結」 ワクチン10億回分提供へ

 29日に開幕した「中国アフリカ協力フォーラム」の閣僚級会議にて、オンライン参加した中国の習近平国家主席は、アフリカ諸国に新型コロナウイルスワクチンを10億回分提供する方針を表明した.6億回分が無償援助で、残りの4億回分は中国企業とアフリカ側が共同生産の形をとる.[三塚聖平 THE SANKEI NEWS 2021-11-29 22:32 ]

 [注] 日本は,入国禁止とセットで,ワクチン提供を申し出る余裕があればよかったのだが. 

2021-11-29 20:45
 オミクロン株への日本政府の対応: 外国人の新規入国を11月30日午前0時から「当面1カ月」禁止とした.日本人についても,帰国してきた国や地域に応じた期間 (10日, 6日, 3日)の指定施設での厳格な隔離措置を実施し,すべての日本人に14日間の待機を求める [REUTERS 2021-11-29 14:15]

2021-11-29 11:15
 国立感染症研究所 (感染研)も28日にオミクロン株をVOCに位置付け

[出典] 感染研 2012-11-28 SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第2報)
 感染研は11月26日にオミクロン株をVOI (Variant of Interest/注目すべき変異株)に位置付けたが,国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき,28日にVOC ( Variant of Concern/懸念すべき変異株)に位置付けを変更した [注: WHO以外にも,各国,各地域がそれぞれにVOI, VOCなどの位置付けを判断する].以下は第2報からの抜粋: 

  • 国内でのゲノム配列サーベイランスでは,国内および検疫に由来する検体からはオミクロン株は検出されていない.
  • 南アフリカにおいては,流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されオミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される.
  • 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP)の発表によると、南アフリカからの帰国者症例がサージカルマスクを着用せずにホテルの部屋のドアを開けた際に、別の1例が感染した可能性があるとしている.
  • オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念される
  • 多重変異によるワクチン効果の低下及び再感染の可能性が懸念される
  • 重篤度の変化については、十分な疫学情報がなく不明である
  • オミクロン株の検出は,これまで利用されてきたPCR検査法で可能である.また,アルファ株で見られたS遺伝子が検出されない特徴 (S gene target failure; SGTF)をオミクロン株識別にも利用できる.
  •  [注] 下線はcrisp_bioが施したもの.

 オミクロン株の南アフリカ以外の国々での検出例について,REUTERSは2021-11-29 8:02 AM JSTに,オーストラリア,ベルギー,ボツワナ,英国,デンマーク,ドイツ,香港,イスラエル,イタリア,オランダ (13人確定),フランス,およびカナダと報道した.同時に,「南アフリカで初めて新たな変異株の出現に気付いた医師の1人が,『症状は軽い (mild)』とコメントした」と報道した.

  オミクロン株の命名によって,これまでに命名されたアルファからミューに続く,ニューとクサイの2つが飛ばされたことになるが,「WHOの報道官が『前者は英語の"new"と紛らわしいこと,後者 (Xi)は"一般的な姓である"ことから回避した』と強調した」と報道されている [SANKEI NEWS 2021-11-28 20:54].ギリシャ語のアルファベットはオメガで打ち止めになるが,それまでにVOCが打ち止めになるだろうか.

2021-11-28 19:51
 この週末の間に,英国や欧州各国に続いてオーストラリアでも水際で2名 (アフリカ南部からのドーハ経由便でシドニー到着)の感染が確認された.2名ともにワクチン完全接種済みで無症状であり,27日にSARS-CoV-2陽性判定,ゲノムシーケンシングを経て28日にオミクロン感染が確定した.2名は施設,
その他12名もホテル,にて14日間隔離,残る乗客とクルー (~260名)も随時検査と自主隔離を求められた[*] [REUTERS 2021-11-28 16:54 JST]

[*] 参考: crisp_bio 旅客機内クラスターの発生事例 - 搭乗前陰性判定の乗客からの事例

2021-11-28 15:31 
SARS-CoV-2 B.1.1.529変異株 (オミクロン)の変異の特徴 [*]と,26日から28日にかけての欧州での感染判明事例 [*]出典: 国立感染症研究所「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統について(第1報)」2021-11-26. 
 国立感染症研究所 (感染研)のWebサイトから「B.1.1.529系統について」の第1項の全文を箇条書きにして以下に引用:

  • B.1.1.529系統は、スパイクタンパク質に32か所の変異を有している。
  • それらの変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フーリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある
  • nsp6 における 105-107 欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある
  • ヌクレオカプシドタ ンパク質における R203K、G204R 変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性 を高める可能性がある
  •  [注] 下線はcrisp_bioが施したもの.

 なお,感染研のWebサイトでは,上記「変異の特徴」に加えて「海外での流行状況と評価」, 「国内での検出状況」および「(オミクロンの)評価」も述べられており,根拠とした「参考文献」のリストも用意されている.

 オミクロンの欧州での感染者事例については,報道によると,26日の欧州初のベルギー (トルコ経由でエジプト旅行) での1名[ロイター 2021-11-27 01:18] に続いて,英国 (南アから) 2名 [BBC NEWS | Japan 2021-11-28],ドイツ (南アから) 2名,イタリア (モザンビークから) 1名,およびチェコ (ナミビアから南ア,ドバイ経由) 1名の感染が判明し[JIJI.COM 2021-11-28 07:46],また,オランダでは,27日の南ア便の乗客600人のうち61人の新型コロナウイルス感染が判明しオミクロン株の可能性が疑われている [JIJI.COM 2021-11-27 20:53].これも報道によると,それぞれ隔離され (自主隔離を含む),行動の追跡調査や立ち寄り先の重点的検査なども進められ,各国内で感染拡大防止措置が取られているようだ.

2021-11-27
 
WHOが南アフリカ初出のB.1.1.529変異株をVOCに指定しオミクロンと命名した 

2021-11-30 10.58.08[右下図のVOC一覧表参照]

 2021年11月26日,WHOのSARS-CoV-2ウイルスの進化に関する技術諮問グループ (Technical Advisory Group on SARS-CoV-2 Virus Evolution, TAG-VE)はSARS-CoV-2 B.1.1.529をVOCに指定すべきと結論し,その助言を受けたWHO は B.1.1.529 をオミクロンと名付けてVOCに指定した [出典 WHO "Tracking SARS-CoV-2 variants" 2021-11-26 更新].

  • B.1.1.529は,2021年11月24日に南アフリカからWHOに初めて報告された.南アフリカではデルタ変異株が優勢であったが,最近の数週間,B.1.1.529の検出に伴って感染者が急増してきた.(南アフリカでB.1.1.529の感染が初めて確認されたのは2021年11月9日に採取された検体であった).
  • B.1.1.529は多数の変異を帯び,その中に懸念される変異が含まれている.予備的ではあるが,他のVOCと比較して再感染のリスクが高まることが示唆されており,南アフリカのほぼすべての州で,B.1.1.529の感染者数が増加しているようである.
  • 現在の SARS-CoV-2 PCR 診断法によってB.1.1.529が検出されているが,いくつかの研究機関から,S遺伝子が検出されないことをマーカーとして使用できるとの報告があった(シークエンシングによる確認待ち).この方法によると,これまでの感染の急増に比べて,B.1.1.529が早いペースで検出されており,増殖に有利である可能性が示唆されている. 

[注1] [注] 本記事は,「新型コロナウイルス:変異株ギリシャ語アルファベット表記の一覧」の記事に書き込んでいたオミクロン変異株に関する一連の投稿を切り出して移行した上で,11月30日から追記し始めた記事となります
[注2] 南アフリカ由来のもうひとつのVOCであるベータ株 (B.1.351系統)については,「crisp_bio 新型コロナウイルス: 南アフリカ由来変異株B.1.351」の記事参照