[注] lncRNA: long non-coding RNA (長鎖ノンコーディングRNA); i-GONADがlncRNA改変モデルマウス作出に有用
[出典] REVIEW "From genotype to phenotype: genetics of mammalian long non-coding RNAs in vivo" Andergassen D (Technical University Munich), Rinn JL (University of Colorado Boulder,). Nat Rev Genet 2021-11-26. https://doi.org/10.1038/s41576-021-00427-8 
 LncRNAの遺伝子座が発見されてきたが,その機能解析は進んでいなかったが,近年のCRISPR-Casによるゲノム編集技術の進歩により,lncRNAの機能をより容易に解析可能とするマウスモデルをプラットフォームとする研究が加速し始めた.
 著者らは,遺伝子改変マウスモデルを用いて,不妊治療から脳の発達まで,生体内でのlncRNAの重要な役割を明らかにした研究を紹介し,lncRNA遺伝子座の生理学的関連性を探る戦略をレビューした.また,遺伝子全体の欠失に始まり,転写の終結や,トランスジーンによるレスキュー戦略を用いた研究手法が,哺乳類lncRNAのin vivo 機能の決定的な証拠を提供できることを示した

[注] 著者らは実験手法としてCRISPR技術中でも -GONAD を以下のように高く評価した:
 CRISPR技術の登場により,今後,lncRNAとmRNAの知識のギャップを埋めることが容易になるであろう.CRISPR技術は特に,遺伝子のノックアウトとノックイン,および大規模なゲノム領域の欠失を迅速に誘導可能とする.また,胚操作にCRISPRを使用することで,胚盤胞注入後にまず胚性幹細胞を操作するのに比べて,接合体を直接変更可能とする.このように,CRISPR技術は,関心のあるlncRNAを操作したマウスモデルの迅速かつ並列開発を可能にした [Genome Biology].
 CRISPRによって胚操作のプロセスが大きく改善されたが,胚操作技術を実現するためには,高度な訓練を受けた人材が必要であることが課題であったが,最近では,マイクロインジェクションに替り,ex vivo エレクトロポレーションによるCRISPRシステムの導入が広がり始め,簡易化が進んだ.
 d4af098b加えて,胚の生体外での取り扱いを完全に回避可能とする GONAD (Genome Editing via oviductal nucleic acids delivery)法が開発され,さらに i-GONAD [*Genome Biology 誌掲載論文から引用した右図参照] へと改良され,極めて高い効率と低いモザイク率で大規模な欠失やノックインを誘導可能になった.i-GONAD法は、生体内のすべての機能的lncRNA遺伝子座を系統的に解明し,その作用機序をさらに明らかにするための基盤となる。