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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] REVIEW "Recent Progress and Future Prospective in HBV Cure by CRISPR/Cas" Yang Y-C, Yang H-C. Viruses. 2021-12-21. https://doi.org/10.3390/v14010004
 抗ウイルス療法下で残存するHBV共有結合閉環DNA (cccDNA)および宿主ゲノムに組み込まれたDNA (以下,統合DNA)が,HBV感染症の根絶を妨げる大きな障害となっている.
 CRISPRを用いたゲノム編集は,cccDNAと統合DNAの両方を含む宿主細胞で維持されているHBVゲノムを特異的に破壊する有望な治療アプローチとして登場したが,同時に,問題点も明らかになった.
CRISPR-Cas9による統合DNAの切断は,宿主ゲノムの二本鎖DNAの切断 (DSB)を介して,ゲノムの不安定性や発癌性といった深刻なリスクを伴う.
 DSBを必要としない塩基エディター (BEs)により,未成熟終止コドンを導入することでウイルスDNAを不活性することが可能であるが,塩基編集の効率,オフターゲット編集,保存性が高いHBVの標的配列の同定が困難であること,生体内への導入効率など,臨床応用までに解決すべき課題が多々残っている.
HBV 一方で,生体内への送達効率については,新たなウイルスベクターや非ウイルス性デリバリー法を利用することで,改善が続いている.特に,脂質ナノ粒子によるCas9 mRNAおよびリボ核タンパク質 (RNP)送達が,臨床における肝臓標的送達の可能性を示しており,ひいては,CRISPRにおるHBV治癒の可能性を示唆している.
[参考] 出典の「Figure 1 B型肝炎ウイルス (HBV)のライフサイクルとB型慢性肝炎を標的とする既製薬剤と開発中の薬剤」を右図に引用

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