[出典] CRISPR/Cas9-mediated demethylation of FOXP3 -TSDR toward Treg-characteristic programming of Jurkat T cells" Wilk C [..] Kehrmann J. Cell Immunol. 2021-12-20. https://doi.org/10.1016/j.cellimm.2021.104471

　FOXP3 -TSDRの脱メチル化は，Treg細胞の安定した分化と抑制機能の特徴である．ヒトのナイーブT細胞の文化を目的としたこれまでのプロトコルでは，Treg細胞に特異的なエピジェネティックシグネチャーを実装することができなかった．

　University of Duisburg-Essenの研究グループは今回，dCas9にTET1の触媒ドメインを融合した因子，FOX3-TSDRの特定のセグメントを標的とするsgRNA，および，青色蛍光タンパク質を発現するプラスミドを，ヒトT細胞であるJurkat細胞に送達し，FOXP3 -TSDRの脱メチル化を実現し，その結果，Th1，Th2およびTh17細胞のマスター転写因子の発現がほとんど影響を受けない一方で，Treg細胞特有のFoxp3およびGarp mRNAの発現を増加させることを見出した．

　本研究は，dCas9-TET1の導入により，患者の初代T細胞に対するTregのプログラミングが実行できる可能性を示した．