[出典] "CRISPR-based in situ engineering tumor cells to reprogram macrophages for effective cancer immunotherapy" Lin M [..] Qi X. Nano Today. 2021-12-24. https://doi.org/10.1016/j.nantod.2021.101359; Graphical Abstract https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S174801322100284X-ga1_lrg.jpg
 北京大学の研究グループが,選択的応答性促進 (selective responsiveness accelerated)遺伝子導入システムを構築し,腫瘍細胞特異的にCD47をノックアウトし,腫瘍細胞をIL-12生産細胞工場に改変し,CD47の阻害とIL-12産生によりマクロファージを介した免疫療法に相乗効果をもたらした.
[詳細]
 腫瘍関連マクロファージ (TAM)は,腫瘍の微小環境に多く存在し,様々なメカニズムで腫瘍の進行を促進することが知られている.CD47は,ほとんどの悪性腫瘍で過剰発現しており、“don’t eat me”シグナルとして貪食の抑制に働く.研究グループは,CD47をCRISPR/Cas9でノックアウトすることで,抗腫瘍免疫反応を長期間持続させることに成功した.しかし,リプログラムしたTAMは抑制性サイトカインに脆弱であり,再びTAMに戻る傾向があり,CD47の遮断だけでは有効な免疫応答を引き出せない可能性があった.
  • 研究グループは今回,CD47阻害と免疫活性化サイトカインIL-12を組み合わせた相乗的な抗腫瘍効果を目指して,腫瘍細胞をIL-12の生産工場にして,TAMを腫瘍細胞内でリプログラムすることを試みた.
  • ヒアルロン酸 (HA)と腫瘍微小環境感受性ペプチド (tumor microenvironment sensitive peptides, TMSP)で二重に修飾し,CD47ノックアウトとIL-12産生を担うプラスミドを同時に送達する選択的反応性促進遺伝子送達システムHPT-PFsを設計した.
  • HPT-PFの腫瘍特異的なトランスフェクションと優れたエンドソーム脱出能力により,27%以上の腫瘍細胞の27%以上がCD47発現を喪失し,マクロファージによる貪食が誘発された.また,HPT-PFsによるpIL-12の発現後,腫瘍細胞から500ng/ml以上のIL-12が産生された.
  • メラノーマモデルマウスにて,CD47のノックアウトとIL-12産生を組み合わせによって,炎症促進的なM1型マクロファージが激増し,炎症性サイトカインの分泌が観察され,腫瘍の成長が有意に抑制された.