[出典] "The novel anti-CRISPR AcrIIA22 relieves DNA torsion in target plasmids and impairs SpyCas9 activity" Forsberg KJ [..] Malik HS. PLoS Biol. 2021-10-13. https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3001428
 Fred Hutchinson Cancer Research CenterにTechnical University of Denmarkが加わった研究グループがは,先行論文 [*]において,機能メタゲノミクスを介してSpyCas9とdsDNAの双方に結合する新たな抗-CRISPRタンパク質AcrIIA11を報告していたが,今回,Acrs候補の中で2番目に豊富であり,ヒト腸マイクロバイオームのクロストリジウム属バクテリアおよびそのプロファージの超可変ゲノム領域に位置するacrIIA22 遺伝子がコードするAcrIIA22 (54アミノ酸)の構造と作用機序を明らかにした.
  • X線結晶構造解析[**]からAcrIIA22の構造が,PC4様核酸相互作用タンパク質ファミリーの中でファージT5から予測される一本鎖結合 (SSB)タンパク質に最も近いことが判明した.
  • AcrIIA22は他の多くのAcrsと異なり,in vitro ではSpyCas9と強く結合しないにもかかわらず,DNAプラスミドに対するSpyCas9の活性を顕著に阻害した.
  • AcrIIA22の野生型と未成熟終止コドンを導入した変異型の生化学的解析から,AcrIIA22がスーパーコイル化したDNAプラスミド基質をニッキングすることでねじれストレスを緩和するDNAニッカーゼであると推定した.
  • このDNAニッカーゼにより,プラスミド基質がSpyCas9の影響を受けにくくなり,プラスミドが負のスーパーコイルからの自由エネルギーを使って安定なRループを形成することが想定された.
 本研究は,DNAトポロジーの改変が,ファージやMGEにおけるCRISPR-Cas耐性への新たな道筋を提供する可能性を示した.
[*] Forsbergらの先行論文紹介crisp_bio記事
[**]
  • PDB: 7JTA  Crystal structure of a putative nuclease with anti-Cas9 activity from an uncultured Clostridia bacterium (分解能 2.801 Å)