[出典] "Photosynthetic light harvesting and thylakoid organization in a CRISPR/Cas9 Arabidopsis thaliana LHCB1 knockout mutant" Sattari Vayghan H [..] Longoni F. bioRxiv 2021-12-23 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2021.12.22.473855
University of NeuchâteにVrije Universiteit Amsterdam, Wageningen University, およびUniversité Grenoble Alpesが加わった研究グループは,CRISPR/Cas9システムを利用して,高等植物の光捕集複合体である3量体のLHCIIの主要な構成要素である LHCB1 をコードする 5 つの遺伝子をノックア ウトし、その結果、LHCII の主要構成要素である LHCB1 をノックアウト (KO)することに成功した。
LHCB1 KOによって,他の LHCII アイソフォームの蓄積はわずかに増加するだけになり,その結果, クロロフィルが失われ,淡緑色の表現型と成長遅延に至った.また,光化学系 II の吸収断面積は縮小したが,光化学系 I の吸収断面積には影響が及ばなかった.このため,2つの光化学系間のクロロフィル再分配が変化して,光化学系Iの励起が有利になった.
光合成電子伝達系の平衡は,光化学系 I と光化学系 II の反応中心比の低下と,LHCII と光化学系 II の脱リン酸化によって部分的に保たれていた。LHCB1 の欠損はチラコイド構造を変化させ,グラナスタックあたりの膜層が少なくなり,グラナの幅が狭くなった.
LHCB1 の安定したノックアウト株は,集光と順応におけるLHCB1の役割を明らかにし,将来の LHCII の in vivo 突然変異解析への道を開いた.
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