2022-01-19 構造PDB公開
- 7WBP: Crystal structure of the receptor binding domain of SARS-CoV-2 Omicron variant spike glycoprotein in complex with its receptor human ACE2 (3 Å)
- 7WBL: Cryo-EM structure of human ACE2 complexed with SARS-CoV-2 Omicron RBD( 3.4 Å)
- 7WBQ: Crystal structure of the receptor binding domain of SARS-CoV-2 Delta variant spike glycoprotein in complex with its receptor human ACE2 (3.34 Å)
2022-01-06 初稿
[注] スパイクRBD: スパイクタンパク質受容体結合ドメイン
[注] スパイクRBD: スパイクタンパク質受容体結合ドメイン
[出典] "Receptor binding and complex structures of human ACE2 to spike RBD from Omicron and Delta SARS-CoV-2" Han P, Li L, Liu S, Wang Q, Zhang D [..] Qi J, Gao GF, Wang P. Cell. 2022-01-05. https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(22)00001-0 (https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.01.001)
中国科学院微生物研究所と南方科技大学を主とする研究グループが,ヒトの受容体ACE2(hACE2)とVOCs (憂慮すべき変異株)のRBDとの結合特性を解析し,オミクロン株RBD-hACE2複合体の結晶構造 (7WBP, 分解能 3.4 Å)とクライオ電顕構造 (7WBL, 分解能 3.0 Å),およびデルタ株RBD-hACE2複合体の結晶構造 (7WBQ, 分解能 3.34 Å)を決定した [カッコ内の記号はPDB ID, (2022-01-06)2022-01-15時点で未だ公開待ち].
- オミクロン株のRBDのhACE2への結合親和性は,デルタ株と共に,SARS-CoV-2のプロトタイプ (1月6日に患者検体から初めて分離された株)のRBDと同レベルであった.一方で,アルファ株,ベータ株およびガンマ株のRBDは,プロトタイプの1.78〜4.56倍の結合親和性を示した.
- 構造情報に基づいて,オミクロン株RBDとhACE2の残基間の相互作用を詳細に分析し,相互作用に関与する重要な残基の役割を明らかにし,オミクロン株RBDのアミノ酸置換の中にhACE2への結合親和性を低下させるものと高めるものがあることも同定した.
- オミクロン株RBDとhACE2との結合親和性は,オミクロン株の免疫回避と感染性に関与する複数の変異の間の補償作用の結果であることした.
- [参考] オミクロン株のRBDに見られる15種類のアミノ酸置換のうち4種類 (K417, T478, E484およびN501)が既知の変異であり,残りの11種類は新規な変異である.Fig. 1にアミノ酸置換のマップとRBD配列のアライメントが示されている.
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