[注] SZ (schizophrenia)
[出典] "Loss-of-function of OTUD7A in the schizophrenia-associated 15q13.3 deletion impairs synapse development and function in human neurons" Kozlova A [..] Duan J. bioRxiv 2022-01-07 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2022.01.06.473910
 NorthShore University HealthSystem (イリノイ州), Emory University School of Medicineなどの研究グループは,統合失調症(SZ)患者群1,779人と対照群1,418人のCNV内の241遺伝子をターゲットシーケンシングし,15q13.3欠失内のOTUデユビキチナーゼ7A (OTUD7A )に,患者群に特異的な稀な推定機能喪失 (Lof)変異を発見した.
  • このOTUD7A LoFとSZに関連するあらゆる細胞表現型とを結びつけるために,CRISPR/Cas9技術によって,ヒト人工多能性幹細胞 (hiPSC)に由来する興奮性ニューロン (induced excitatory neurons: iNs)のOTUD7A LoF変異 (rs757148409)モデルを作出した.
  • この変異型iNsでは,ナンセンスコドン介在的mRNA分解 (nonsense mediated mRNA decay: NMD)を経ることなく,OTUD7Aの発現が約50%減少していた.
  • また,樹状突起の複雑さ,シナプスタンパク質GluA1およびPSD-95の密度,神経細胞ネットワークの活性が,著しく減少していた.
  • さらに,OTUD7A LoFで発現が低下した遺伝子群には,シナプスの発達や機能に関連するものが多く,SZやその他の精神神経疾患と関連していた.
 これらのデータから,OTUD7Aは15q13.3欠失における神経発達障害および精神疾患の表現型のドライバーであることが明らかになった.