[出典] "CRISPR/Cas9 disruption of EpCAM Exon 2 results in cell-surface expression of a truncated protein targeted by an EpCAM specific T cell engager" Bagheri A, Cap PA, DuBridge RB, Chen TT. Biochem Biophys Rep. 2022-01-12. https://doi.org/10.1016/j.bbrep.2022.101205
武田薬品子会社Maverick Therapeuticsの研究グループは,BiTE抗体 (二重特性T細胞誘導抗体)製品であるCOBRA™(PubMed 32684124)の特性を評価する過程で,標題の現象に遭遇した.
- HT29細胞に,上皮細胞接着分子EpcAMをコードする遺伝子のエクソン2を標的とするCas9-sgRNAを投与した.
- 市販の抗体では細胞表面での発現が消失していることが確認されたが,EpCAMを標的とするCOBRAは,このCRISPR/Cas9 EpCAM KO細胞を溶解した.
- 標的細胞のRT-PCR配列解析結果は,CRISPR/Cas9 KO後の転写物として,エクソン2が完全にスキップされてエクソン1と3がインフレームで結合し,その結果,EpCAM-COBRAが認識する切断型細胞表面受容体を発現していることを示した.
CRISPR/Cas9ノックアウト実験では,標的遺伝子からアイソフォームのようなオルターナティブなタンパク質が発現する可能性を認識した上で,高感度な互いに直交する検出法を利用して,完全な遺伝子破壊を確保する必要がある.
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