[出典] "Study of the CRISPR/Cas3 System for Xenotransplantation" Miyagawa S et al. Transplant Proc 2022-01-11. https://doi.org/10.1016/j.transproceed.2021.09.070
 ブタからのヒトへの異種臓器移植を目的として,異種抗原GGTA1のCRISPR/Cas9によるノックアウトなどが試みられてきたが [1~3],大阪大学,明治大学および東京大学の研究グループは今回,初めて、CRISPR-Cas3 [4]によるGGTA1遺伝子編集を試みた.
  • Cas3Type I-E型CRISPRシステムは,crRNA, Cas3,およびCascade (Cas5 + Cas6 + 7つのCas7 + Cas8 + 2つのCas11)で構成されている [Cas3関連先行論文 [*] (Nat Commun, 2019) から引用した右図参照].
  • bpNLS-Cascade,BPNLS-hCas3,およびpBS-U6icrRNAのプラスミドを準備した.
  • GGTA1のエクソン9を標的とする2種類のcrRNAs (以下,#45と#86)を設計した.
  • ブタ線維芽細胞に,hCas3+#45+#86 (グループ1、コントロール),Cascade+hCas3+#45 (グループ2),Cascade+hCas3+#86 (グループ3),およびCascade+hCas3+#45+#86  (グループ4)を投与しFACSで比較し,その結果,α1-3Galエピトープのバルク発現量の変化が,G4 > G2 > G3の順になり,Cas3の効果が証明された.
  • PCR解析からは,GGTA1における294〜754 bpの欠失が確認された.
[関連crisp_bio記事]
  1. 2021-03-30 [レビュー] ブタからヒトへの臓器異種移植研究におけるCRISPR/Cas技術.https://crisp-bio.blog.jp/archives/25954517.html
  2. 2020-08-23 ブタからの臓器移植の障害となる異種抗原GGTA1をCRISPR/Cas9によりノックアウト.https://crisp-bio.blog.jp/archives/23967796.html
  3. CRISPRメモ_2017/08/23 FokI-dCas9を利用したブタGGTA1遺伝子座への抗CD2モノクローナル抗体遺伝子導入.https://crisp-bio.blog.jp/archives/3428664.html
  4.  [*] 2019-12-07 CRISPR-Cas3を介したエクソン・スキッピングによるDMD遺伝子変異修復. https://crisp-bio.blog.jp/archives/21075878.html