[注] MPS1 (mucopolysaccharidosis I)
[出典] "Brain and visceral gene editing of mucopolysaccharidosis I mice by nasal delivery of the CRISPR/Cas9 system" Vera LNP [..] Baldo G, Teixeira HF. J Gene Med. 2022-01-14. https://doi.org/10.1002/jgm.3410
 ムコ多糖症I型 (MPS I)は、酵素α-L-イドロニダーゼ (IDUA)の欠損によって起こる遺伝性の疾患であり,脳を含む複数の組織が侵され,認知機能障害に至るが,現在利用可能な治療法は,脳に到達していない.Programa de Pós-Graduação em Ciências Farmacêuticas da Universidade Federal do Rio Grande do Sul (UFRGS)を主とする研究グループは今回,脳への到達を目指して,CRISPR/Cas9システムおよびROSA26遺伝子座を標的とするIDUA遺伝子をコードする2つのプラスミドを搭載したリポソーム複合体をMPS Iマウスに鼻腔投与(NA)した.
  • リポソームをマイクロ流体化により調製し,プラスミドを吸着により製剤に複合化させた.製剤および複合体の物理化学的特性,in vitro 透過性,および,ブタ鼻粘膜 (PNM)での粘着性を評価した.
  • 今回の製剤は,110nm前後の単分散の粘着性複合体で,PNMを効率的に透過した.
  • 本処理によりモデルマウスの脳領域,および肺組織と心臓にてIDUA活性がわずかに上昇し,血清,尿,組織,脳皮質中のグリコサミノグリカン(GAG)レベルが減少した.さらに、投与したマウスは行動学的テストにおいて改善を示し、認知機能障害の予防が示唆された。
 今回の非ウイルス性遺伝子編集は,MPS I の体細胞および神経系症状に対する治療法として開発したが,他の神経系疾患に展開できる可能性もある。