[注] HCC (Hepatocellular carcinoma)
[出典] "Single-cell biology uncovers apoptotic cell death and its spatial organization as a potential modifier of tumor diversity in hepatocellular carcinoma" Khatib SA [..] Wang XW. Hematology 2022-01-16. https://doi.org/10.1002/hep.32345
 NCI/NIHを主とする研究グループはシングルセル解析により,標題の結論を得た.
  • 2つのHCCコホートから得られた254件の腫瘍サンプルを組織マイクロアレイにより解析した.CDKN3 とPRC1という2種類の腫瘍マーカーを不均一性の指標とし,CASP3 をアポトーシス性細胞死マーカーとして用い,HCCサンプル間の細胞の多様性を定量化する数理モデルを開発した.さらに,密度等高線 (density contour)のマッピングと空間的近接性の分析により,細胞死に向かう細胞 (dying-cell)のハブが,腫瘍細胞の不均一性と患者の転帰に与える影響を探った.
  • また,CRISPR/Cas9を利用して選択的に制御したin vitro 細胞死モデルを開発し,低酸素条件下での治療反応性と増殖を測り,CASP3 陽性腫瘍細胞レベルの増加が,腫瘍の高い不均一性と関連していることを見出した.興味深いことに,CASP3 陽性腫瘍細胞が密集している領域 (著者らはCASP3 陽性細胞アイランド / CASP3+ cell islandsと命名)を発見し,その近傍の細胞の不均一性が,これらの'島'から遠く離れた細胞と比較して最大であり,この現象と腫瘍細胞生存が相関することを同定した.
  • さらに,細胞培養実験により,CASP3 発現の増加を伴う細胞死のレベルが高いほど,低酸素下での治療抵抗性や増殖が亢進することが,明らかになった.
 これらの結果は,アポトーシス性細胞死の増加が,腫瘍の不均一性を高め,その結果,患者の転帰を悪化させると仮説と一致した.