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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "In vivo delivery of CRISPR-Cas9 using lipid nanoparticles enables antithrombin gene editing for sustainable hemophilia A and B therapy" Han JP, Kim M-J [..] Lee H, Song DW, Yeom SC. Sci Adv. 2022-01-21. https://doi.org/10.1126/sciadv.abj6901
 遺伝性疾患の一種である血友病の根本的治療はまだ開発されておらず,もっぱら,血友病の種類に応じて不足している凝固因子を補充する療法が行われている.しかし,血友病Aでは約30%,血友病Bでは約10%を占める第VIII因子(FVIII)およびFIXに対するインヒビターを有する患者には,AAVを介した遺伝子治療により凝固因子の補充は適さず,また,重症血友病患者の95%がFVIII補充療法開始後75日以内にインヒビターを発症する.
 これまでに,インヒビターを帯びた血友病患者に向けて,二重特異性抗体治療薬やRNA干渉薬が開発されてきたが,いずれも,生涯にわたり注射を繰り返す必要や,治療効果が短期的であるといった課題を伴っている.また,治療の繰り返しが血友病患者のQOLを損なうことも明らかになってきた.
 ソウル大学,梨花女子大学,およびToolgen Incの研究グループは今回,非ウイルス性の脂質ナノ粒子を介してSpCas9 mRNAとアンチトロンビン (AT)を標的とするsgRNAを血友病Aと血友病Bのモデルマウスの肝臓にデリバリーすることで,CRISPR-Cas9を一過性に発現させ,オフターゲット編集を抑制しつつ生体内で目的とする遺伝子編集を実現し,出血に関する正常な表現型を回復するに至った.
[参考] 左下図は,FIG. 2から引用した脂質ナノ粒子によるCRISPR-Cas9システムの模式図,右下図は,FIG.1から引用したATを標的とするCRISPR-Cas9による凝固因子回復機構の模式図.
hemophilia 2  hemopjilia 1
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