[注] 1950年代からアミノ酸生産菌として知られることになったCorynebacterium glutamicumは,現在も多様な化合物の生産工場として期待され開発が続けられている
[出典] "CRISPR-assisted rational flux-tuning and arrayed CRISPRi screening of an L-proline exporter for L-proline hyperproduction" Liu J, Liu M [..] Wang Y, Zheng P, Sun J. Nat Commun. 2022-02-16. https://doi.org/10.1038/s41467-022-28501-7
Tianjin Institute of Industrial Biotechnology/National Technology Innovation Center of Synthetic Biologyからの報告.
- L-プロリンは,二級アミンを持つ唯一のタンパク源性アミノ酸であり,医薬品や食品産業への応用が期待される高価値のアミノ酸であるが,C. glutamicum による発酵生産は,L-リジンやL-グルタミン酸に比べて低収率であり,また,抗生物質や高価な化学誘導剤を必要とするプラスドベースの発現系に依存しており,工業的規模の発酵に至っていない.
- 研究グループは,L-プロリン高生産株をデノボで開発するために,はじめに,C. glutamicum のCRISPRシステムを最適化し,細胞毒性の低下と編集効率の向上を図った.
- 続いて,CRISPR/Cas9とssDNAを介したゲノム編集とアレイ型CRISPRiスクリーニングを利用して,重要な酵素を組み込み,インシリコ解析により予測したフラックス制御遺伝子をオーダーメイドのプロモーターライブラリにて微調整し,さらに,L-プロリン輸送体Cgl2622を発見した.
- こうして最終的に,プラスミド,抗生物質,誘導剤を含まず, 流加発酵にてL-プロリンを高効率で生産する菌株に到達した.
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