[注] 血友病A (HA)は単一遺伝子 (F8)欠損により発症するが,血漿中の凝固第VIII因子 (FVIII)濃度のわずかな上昇で,る臨床症状を大幅に改善可能
[出典] "Therapeutic correction of hemophilia A using 2D endothelial cells and multicellular 3D organoids derived from CRISPR/Cas9-engineered patient iPSCs" Son JS, Park CY [..] Kim D-W, Km J-H. Biomaterials 2022-02-18. https://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2022.121429
 Korea UniversityとYonsei University College of MedicineにNEXELとKorea Institute of Toxicologyが加わった研究グループの報告.
  • HA患者から採取したF8欠損ヒトiPSC(F8d-HA hiPSCs)と,F8d-HA hiPSCsのF8dをCRISPR/Cas9ゲノム編集で修正した (corrected)F8cHA hiPSCsを使用した.
  • F8c-HA hiPSCsからは,CD157+細胞の高度に濃縮された集団が得られ,これらの細胞は,内皮細胞 (endothelial cells, EC)の複数の細胞および機能的表現型を示し,F8d-HA hiPSC-ECでは観察されなかった有意なレベルのFVIII活性を有していた.
  • F8c-HA hiPSC-ECsを移植したHAモデルマウスの血漿中のFVIII活性が回復し,高用量のEC移植によってHAモデルマウスに対する治療効果が見られ,また,移植されたECはHAマウスで3ヶ月以上生存した.
  • さらに,マイクロウェルデバイスに3種類の細胞を組み込むことで,F8c-HA hiPSC由来3次元肝オルガノイドを作製し、HA動物においてその治療効果を確認した.
 研究グループは,ゲノム工学とiPSC技術の組み合わせが,HA治療のための自家細胞を介した遺伝子治療の可能性を広げたとした.